080421

イカの哲学

BOOKS

4087204308.jpgイカの哲学
集英社新書

著者: 中沢 新一・波多野 一郎

ISBN: 978-4087204308
出版: 集英社

価格: 714-円 (税込)


イカの哲学............とは、それは何........アースダイバーの中沢新一が又何を言い出したの......そんな興味から本書を手に取った。それは存外に面白く刺激的だったのである。

本書はサンドイッチのように、その中心に、1965年に波多野一郎なる人物が著わした「烏賊の哲学—a key for the peace—」なる小さな本 (本書166頁中34頁) を据えて、中沢新一による導入と論考がパンのように挟んでいるのだ。

「烏賊の哲学」の著者、波多野一郎は1922年、京都府綾部に製糸業 (現グンゼ株式会社) を起こした人物の孫として生れた。1942年に早稲田大学に入学するも学徒兵として陸軍航空隊に入隊、1945年7月、特攻隊として出撃命令を受けるが、することなく満州で敗戦を迎え、シベリアに勾留され過酷な状況下での炭鉱労働を経て1949年帰国した。
1951年に米スタンフォード大学に留学し、プラグマティズム哲学の研究で修士課程を修了して帰国し、1965年に「烏賊の哲学」を刊行し、1969年に脳腫瘍によって46歳で没する。


目次
はじめに

イカの哲学   波多野 一郎

イカの哲学から平和学の土台をつくる
 1 イカとカミカゼ
 2 生命の深みで戦争と平和を考える
 3 実存は戦争を抑止する
 4 超戦争に対峙する超平和
 5 エコロジーと平和学をつなぐ

おわりに


波多野一郎はスタンフォード留学中の夏休み、その二ヶ月間、学費を稼ぐアルバイトに出かけた。
太平洋岸モントレーの魚河岸で1日何万匹ものイカを箱詰めして冷凍するという仕事だった。その仕事中の一瞬、彼は閃くのだ。イカの実存........から一つの哲学、人類に殺戮をやめさせるのに必要な思想、それが本書の中心をなす「イカの哲学」なのだ。

中沢新一はその「イカの哲学」を、ジョルジュ・バタイユのエロティシズム論を援用しながら展開させ、平和学とエコロジーをつなぎ、それらを再構築していくのである。


おっと、そう言えば、同じ中沢新一の集英社新書「憲雄九条を世界遺産に」を読まないまま積んだまま........................であった。

Posted by 秋山東一 @ April 21, 2008 05:36 AM
Comments

あっ!!この本、さっそく買います。

Posted by: わきた・けんいち @ April 21, 2008 12:39 PM

おもしろそうな、本ですね...。
そして先生の「本書はサンドイッチのように.......導入と論考がパンのように包んでいるのだ。」
という文も、とてもわかりやすいですね...名文です...笑(失礼しました...笑)。

Posted by: たかさん @ April 21, 2008 09:47 AM