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ボローニャ紀行

BOOKS

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ボローニャ紀行


著者: 井上 ひさし

ISBN: 978-4163690902
出版社: 文藝春秋
価格: 1,250 -円(税込)

イタリアはボローニャである。ボローニャの街を知らなくてもスパゲッティ・ミートソースをボローニャ風スパゲッティ Spaghetti alla Bolognese (ボローニャにはこれが無いんだそうだが) と言うのは皆知っているのである。

大昔、行ったことがあるというか、立寄ったことがあるが、それよりも住宅のクライアントがボローニャ大学に留学していたりして、なんとなく親しく感じていたのだ。井上ひさしの「........紀行」であるからして、もちろん、ただの観光案内ではないのである。

ここボローニャは「赤いボローニャ Bologna rossa 」と呼ばれる。赤レンガの街並みを称して呼ばれているのと同様に、左翼の強い土地柄からそう呼ばれているのだ。第2次世界大戦時のレジスタンスの町、世界一古い大学のある町、イタリアを代表する機械工業の町、そしてボローニャ料理と呼ばれる美食の町、本書はこの町にどのような生活があり、それをどのような仕掛けがそれを支えているのかを解き明かしたものなのだ。そこには「ボローニャ方式」と呼ばれる都市再生の仕掛けがあるのだ。

テストーニの鞄」なる、空港に着いた途端に大事な鞄を盗まれる冒頭の話から、「二つのイタリアーーーあとがきに代えて」に至る二十編のエッセイによって、それが縦横に解き明かされるのだ。


 目次
 テストーニの鞄
 二つの塔
 柱廊の秘密
 大きな広場
 チャプリン・プロジェクト
 街の動力
 山の上の少年コック
 歌う修道女たち
 大泥棒とこそ泥
 社会的発明とはなにか
 日常が大事ということ
 聖ドメニコ、わが恩人
 演劇の役割
 そのとき、坊やは、背後から射たれた
 市長の作り方
 花畑という名の都市
 牛を連れたストライキ
 三枚の立て札
 二つの選挙
 二つのイタリアーーーあとがきに代えて

「山の上の少年コック」は、イタリア憲法の話から始る。「イタリアは、労働に基礎を置く民主的共和国である。主権は、人民に属する。人民は、この憲法の定める形式および制限において、これを行使する。」がその第一条なんだそうだ。

ボローニャで活きている世界は、こんな原則に守られているに違いない。

そのイタリアも、今年になってあの右派のベルルスコーニが首相に再登場したようだが、はてさて..........。


Posted by 秋山東一 @ April 28, 2008 06:02 AM
Comments

可喜庵さん、ごぶさたしてます。
日本の建築設計者達に、あんな辺鄙な所が妙に流行ったものですね。
乗馬のお誘い......じゃなかった、食馬のお誘い、いいですね。

Posted by: 秋山東一 @ May 1, 2008 07:00 PM

塔の町サン・ジミニアーノ。私も1971年に訪れました。異次元に迷い込んだのかと、ただただキョロ・キョロしたことが思い出されます。
また、馬でも如何ですか。

Posted by: 可喜庵亭主 @ May 1, 2008 05:30 PM

shin さん、どうもです。
サン・ジミニアーノは私も1970年に出かけました。塔にも上りましたが、怖かったなぁ。

Posted by: 秋山東一 @ May 1, 2008 09:13 AM

テストーニの鞄はサン・ジミニアーノですね
1976年に行きました。すごく感銘した中世都市です
ボローニャ地方って興味深いですね

Posted by: shin @ April 30, 2008 10:54 PM