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少年民藝館

Art/Design , BOOKS

この「少年民藝館」を手に入れたのは2008年3月21日であった。

19日に浜松で小池さんにお会いした際、テーブルの上で発見したのだ。すぐ欲しくなってしまうのはいつもの事だが、浜松から帰った翌日、わざわざ、東京・駒場の日本民藝館に出かけて、ミュージアムショップで手に入れたのであった。

最近、神棚のお社を見たくなって本棚から出して……、このエントリーなんぞを見ていたら、あの時、やっとこさ手に入れられた本書が、筑摩書房刊となって amazon から新刊書として手に入るようになっていたのだ。というわけで、再録である。

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少年民藝館

著者: 外村 吉之介 (とのむらきちのすけ)

ISBN: 978-4480857965
出版: 筑摩書房

価格: 4,200-円(税込)

浜松の小池さんの事務所のテーブルにあった。「山田さんが......いい本だ.......って言うんですよ」と言っておられた。山田さんとは「住む。」の編集長の山田きみえさんのことだ。

とてもきれいな本だ。...... ある意味で、民藝っぽい装幀かな。

民藝...民藝館...少年民藝館、その少年の二文字に大きな意味がある。「民藝」という世界の魅力を少年向けに書いたものなのだ。「まえがき」はこう始る。

 人間は誰でも毎日親しくしている友だちの影響を受けて、知らず知らずのうちに良くも悪くも変わるものです。それで昔から「朱に交れば赤くなる」といって、良い友だちを選べ、という格言が世界中にありますが、同じように、毎日いっしょにいるもの言わぬ友だちも、人に強く影響を与えますから、私どもは用心せねばなりません。
 この「もの言わぬ友だち」というのは、毎日私たちの回りにある道具類のことです。人間は誰でもみな丸裸で生まれて来ますけれども、必ず多くの道具を使い、それにたより守られて、長い一生を暮らしています。その道具が良いか悪いか、美しいか汚いかで人間の心がけが変わるのです。たとえば、運動服を着けると勇む心が起こり、寝間儀を着るとゆるんだ心になります。見せかけの、形も色も悪い道具類を毎日使っていると、心まで粗末な人になってしまいます。ですから形も色も良く、たよりになる健康な美しい道具を選びたいものです。
 この『少年民藝館』は、見せかけの駄目なもの、着飾った怠けもの、高くて威張っているような道具を捨て、健康で無駄がなく威張らない美しさを備えてよく働く、良い友だちをみなさんに紹介したいと思って、世界中の美しい工藝品を選んで並べました。
----------<後略>----------

世界中の86アイテムの民藝品、椅子敷からお椀、鳥籠から鋏、道具と玩具の写真と解説がある。ちょっとお説教くさいが、それらを「もの言わぬ友だち」というところに、民藝品、その世界を若い世代に伝えようという著者の意志を感じる。

「民藝」なる言葉、私はちょっと避けていたきらいがあるが、そこにあるのは、民家と同じく民具、その単純にして素朴な物の有様は美しい。

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小池さんはネットで高価な物を手に入れたとのこと……だが、本書をネットで検索しても流通している気配がない。

私は村田直子さんに教えていただいて、東京・駒場の日本民藝館のミュージアムショップで手に入れた。本書は全国各地にある民藝館においてあるものらしい。


追記 120107

この「少年民藝館」は1984年発刊、1997年改訂第二刷で出版元は用美社であった。2011年に出版元を筑摩書房に変えて発刊された。1,000-円程の値上がりだが手に入るようになったのは目出度い。

というわけで、2008年3月27日付けのエントリーを再録することにした。


Posted by 秋山東一 @ January 7, 2012 12:00 PM
Comments

真鍋さん、どうもです。ごぶさたしてます。
小池さんから、山田編集長、真鍋編集長まで、編集に携わる方々ご推奨の本でありますね。「民藝」にちょっと偏見を持っていましたが、本書で納得であります。

Posted by: 秋山東一 @ March 29, 2008 04:39 AM

おお!「少年民芸館」。ちまちまつくってないで、いい本ですね。韓国に行きだした頃に私もやはり買いました。民芸のりっぱさをエバラない美しさだと書いていて、感心した覚えがあります。人も建築もそうありたいですね。AKIさんのエントリーで思い出し、手に取りましたが、やはりいい。少年も大人も区別なく感激させることができる人間が一流と呼ばれるとすれば、この本は一流です。この本を出版した用美社ですが、事情は知りませんが、現在は私の地元・葉山にあります。

Posted by: H.manabe @ March 28, 2008 06:37 PM