071022

アントニン&ノエミ・レーモンド

Architecture , Event

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行かねばと思ってそのまま、最終日21日にどうにか滑り込んだ。
神奈川県立近代美術館-鎌倉の「アントニン&ノエミ・レーモンド」だ。

チェコ生れのアントニン・レーモンド(1889~1976)とフランス生れのノエミ・レーモンド(1889~1980)夫妻の第1次世界大戦前後の米国での仕事から、ライトの帝国ホテル建築のため来日した、戦前、戦後と40年以上にわたる日本での活躍、その全ての足跡と仕事を回顧し概括する展覧会だ。
日本において近代建築が根付くのに大いなる貢献をしたのみならず、日本建築を世界に伝える役割も担った、その弟子達に吉村順三、前川國男、ジョージ・ナカシマ、増沢恂の名前見る時、その偉大さが分かるのだ。
今回、レーモンドの建築が紹介されることがあっても、ノエミ・レーモンドの繊細なデザインが紹介されることは少ない、彼女の作品を見ることができたのは存外の喜びであった。

1964年の夏(芸大の3年生の頃)だったと思うが、麻布の笄町(こうがいちょう)のレーモンド事務所にアルバイトにでかけていた。
中央線の信濃町でおりて都電に乗って、霞町(今は西麻布なんぞという無粋な地名だが)の交叉点の停留所で降りて、広尾の方に向かった左側の坂道を上がった左手に事務所はあった。
レーモンド様式というべき有名な杉丸太の架構の木造の建物であった。広い製図室、地下には大型の青図機械を備えた青図室、それにスタッフ用の食堂まであった。中庭を隔ててレーモンドご夫妻のご自宅という構成であった。

もう、その頃の事務所では、レーモンドご夫妻が製図室にでてこられるような事は少なかったと思われるが、学生アルバイトが作る模型に興味を持ったのか、作っていた銀座松坂屋の改装計画の大きな(1/50だったと思う)模型をご覧になって、「これはジャズですねぇ....」とそのデザインがお気に召さないようであった。そんな折りに、吉村順三が訪問、レーモンドは、君んとこの生徒がきてるんだよ...と、ちょっとうれしそうに話していた。
ノエミ・レーモンドも時折お見かけしたが、実に柔和なやさしそうな方であった。もうお二人とも70代の半ばの頃なのであった。


 ● komachi memo2 : アントニン&ノエミ・レーモンド展
 ● 鈴木工務店ブログ : レーモンド「夫妻」展
 ● alpshima: 鎌倉三昧!
 ● masuzawa: レーモンド展

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Posted by 秋山東一 @ October 22, 2007 07:24 AM
Comments

keiji さん、どうもです。
トラックバックで札幌聖ミカエル教会のパノラマを拝見しました。小さな教会の空間の魅力を余す事無く捉えたいいパノラマですね。

Posted by: 秋山東一 @ September 17, 2008 04:11 AM

秋山さんの記事を拝見し、札幌にもレーモンド氏の建物があることを知りました。
今年の夏、行ってきましたが、
なんだか、とっても落ち着ける場所でした。

Posted by: keiji @ September 17, 2008 12:15 AM

滑り込めず、見落としてしまった『ひとり』です。
ツギハ御歳七十九のころでしょうか...(笑)。

Posted by: たかさん @ October 25, 2007 12:25 PM

iGa さん、どうもです。
いやぁ、私は滑り込みセーフでしたが、ずいぶんと見落とした方がいらっしゃるでしょうね。コルビュジェ展は、展望台と一緒だからって思ったんですが、レーモンド展も極く普通の人がたくさんおられたのに驚きました。

Posted by: 秋山東一 @ October 25, 2007 08:34 AM

Shin さん、どうもです。
拝見する機会なんぞありましたら......期待いたしておりますです。

Posted by: 秋山東一 @ October 25, 2007 08:08 AM

可喜庵亭主 さん、どうもです。
alpshima さんから、そのお話をお聞きしてびっくりでありました。天高く....馬が恋しい季節でありますね。ぜひぜひ。

Posted by: 秋山東一 @ October 25, 2007 08:02 AM

私も先週、鎌倉に馳せ参じました。1970年に銀座松坂屋で開催された「アントニン・レーモンド展」以来、37年振りに見たアントニン&ノエミ・レーモンド展でした。37年前の展覧会では偶然にも会場に来られた御夫妻のお姿を見掛けしています。その1970年の展覧会は南山大学等のビッグプロジェクトに多くの展示スペースが当てられていたこととや、アントニンによる水彩画に感心したことを記憶してますが、今回はノエミ・レーモンドの染色やテキスタイルデザイン等の生活に関わるモノに多くの焦点が当てられていて良い展覧会でした。会期が短いのが惜しまれますね。

Posted by: iGa @ October 23, 2007 10:49 AM

alpshimaさんとコメント交換がすみました。
あのレーモンドの赤星邸はホントに不思議な家でした。大金持ちだろうなぁ...とだけ子供時分でも感じていましたが。

Posted by: Shin @ October 22, 2007 04:56 PM

秋山ブログを通じてalpshimaさんと旧交を温めることができました。そんな訳で、馬でも一緒に行きませんか。ご都合を。

Posted by: 可喜庵亭主 @ October 22, 2007 11:03 AM

alpshima さん、どうもです。
そちらのエントリーを見なければ、忘れてそのままだったかもであります。どうもであります。......そんな身軽ではありませんが、昼時で、そんなに混みあっていなくて幸いでありました。

Posted by: 秋山東一 @ October 22, 2007 08:21 AM

秋山さんの滑り込みセーフには、その身軽さが目に浮ぶます。清祥な気持ちになれた、展覧会でしたね。成蹊学園の五日市街道を隔てて建っていた『赤星四郎邸』は小学校時代に皆で「ここに住んでいる人は誰だろう?」と噂していました。なにしろ通っていた12年間に主・家族の誰も見かけたことがありませんでしたから、不気味な家という印象が強かったのを覚えています。赤星四郎邸の南にある修道院も同じ雰囲気の建物(現存)ですが、こちらはレーモンド事務所の仕事とは関係ないのですか?。

Posted by: alpshima @ October 22, 2007 07:42 AM