ぼくがカンガルーに出会ったころ | [ BOOKS ] |
本書は体裁は同じくだが、その浅倉久志氏ご本人の書かれた本なのだ。
ヴォネガットといえば「ガラパゴスの箱船」なんぞ、私の大の好みだが、もちろん、浅倉久志訳である。
カート・ヴォネガットの本といえば著者と訳者はもう一体のものとして厳然と存在しているのである。
その翻訳者の浅倉久志氏の初の著作集、もう70才の半ばを過ぎてのデビューというわけだ。
表題の「ぼくがカンガルーに出会ったころ」というエッセイから始まる。それは、彼が戦後の1947(昭和22)年に大阪外語の英米科の学生として、初めてペーパーバックスに出会った話なのだ。
そして、エッセイ、SF評論が続く。「翻訳とSF」「ぼくの好きなSF作家たち」「ディックとヴォネガット」「ユーモアSFに魅せられて」「SFスキャナー」「アンケートとアンソロジー、映画、思い出の人びと」.....。
メインディッシュは、なんといっても「ディックとヴォネガット」だ。浅倉久志氏の翻訳本の「訳者あとがき」の全てが載っていることなのだ。読んだ本は懐かしく、読んでいなかった本は、読んだ気になってしまうという都合のよさなのだ。
そして、締めくくりは翻訳を一つ、E・B・ホワイトなる人の「ドア」なる小品、そしてめでたく「著者あとがき」ならぬ「訳者あとがき」へとなるのだ。どうもこうじゃないと据わりが悪いらしい。めでたし、めでたし。
皆さん、どうもです。
昨年9月に出版されたカート・ヴォネガットの最新エッセイ集「A Man Without a Country」の翻訳って進んでいるんでしょうか。楽しみです。
ヴォネガットに思わず反応してしまいました。SFファンタジーを熱心に読みふけっていたのは、30年以上も前ですが(SFマガジンは二桁台から(^^;;)、ヴォネガットだったりルグインが日本でメジャーになる日がくるのは、想像も出来ませんでした。久しぶりに、「タイタン」でも買って読もうかな(^^;;
Posted by: アプ @ August 2, 2006 02:22 PM浅倉さんの訳は(たとえ原作が弱くても)素晴らしい本になっているので安心して読めました。私の頭に残っている唯一の翻訳者です。
エッセイのうちSFマガジンで読んだかもしれないタイトルもありますが、ぜひ購入したいと思います。