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台所の一万年

BOOKS

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台所の一万年 食べる営みの歴史と未来
百の知恵双書 (011)

著者: 山口昌伴

ISBN: 4540040790
出版: OM出版/農文協

定価: 2,800-円(税込)

真鍋編集長のブログ komachi memo2 のエントリーで、探鳥のあいまあいまに、その本作りに苦吟されているご様子であったが、新しい本「台所の一万年」が出た。

著者は山口昌伴氏、この著者でなければこの本はありえないという具合の本なのだ。

のっけから、その制作の大変さが分かるような図説、絵年表が目に入ってくる、まぁ、......の一万年である。

「食べる営みの歴史と未来」とあるように、人類登場と食の誕生、その一万年の歴史と現在、我々の今の食の世界の問題を批判し、未来につなげようというのが本書なのだ。


目次

まえがきーなぜ一万年か
[図説]食べる営みのうつりかわり/絵年表・台所道具の一万年

第1章 食べ事とは、食べ物とは、そして台所とは

 大事に食べていくためにー食事を「食べ事」と読んでみる
 美味しい健康、食べる楽しみー生命をいただいてわが生命歓ぶ
 生命と健康ー風景を食べる、大地を食べ尽くす
 食べ残しのゆくえー生ごみと芸術のはざまで

第2章 台所のいろいろなかたち

 台所の成立ちを探る小旅行ー食べられる環境を求めて
 うちの台所、まちの台所ーホームキッチンとソーシャルキッチン
 住まい全体が台所ーひろがる食べ事の空間
 食べられる都市ー都市農耕とリサイクル

第3章 近代日本の台所に起こった事ー台所がキッチンと呼び替えられて

 食べる営みのシステムーそれは重要文化財
 台所、この100年ー台所がキッチンに変わった

第4章 これからの台所、その設計条件ー食べる一万年の知恵を

 美味しい台所を実現するにはー日本の風土に合った日本型台所をつくり出そう
 「台所の構え」をもっと自由にーフレキシブル&エコロジカル
 食べ事を大事にできる台所ー生活の質をたかめる中心として

振り出しに戻る「台所のテーマの変遷・一万年双六」
あとがきーこの異常だった一万年


本書の腰巻きには「今どきのキッチンのどこが問題か。どう変えたらいいのか。美味しい台所革命。」とある。本書の最終目標はその「革命」にある。

食自体の問題に抱え込んだ設問は、農薬、添加物、ゴミ、自給率........その他、諸々の問題の中で収拾不可能.......道具だてだけでは不可能な問題であることを露呈したようだ。

本書最終章「これからの台所、その設計条件」はたくさんの問題点を指摘して、その各々の事情の中で、読者にその解決を委ねたようである。

まぁ、いつでも、どこの台所・厨房でも、その設計は、昔から「シェフ」に委ねられる問題なのではある。

Posted by 秋山東一 @ July 15, 2006 08:21 AM
Comments

komachi さん、どうもです。
おっしゃっておられる、個人の食の問題は自分の家の台所から、というのはよく分かるし、その通りと思います。
しかし、一万年を分析研究した結果としての、あるべき台所の姿を期待すると......いろんな問題点の指摘はあっても、よく分からない、というのが正直なところです。
台所を一つの道具として捉えた時、シェフ・料理人が何をどう調理するのか、できるのかにかかわっている。そんな無数のシェフ達の「食事達」と「台所達」をたくさん見て、考えるのが.....いいかもですね。ブログでかいま見える komachi さんの家の食事の問題、そこで感じ見える台所の話のように、と思います。

Posted by: 秋山東一 @ July 16, 2006 11:51 AM

akiさん、ご紹介いただき光栄です。食の問題は家庭の台所だけでは解決が付かない重いテーマ。確かにその通りなのです。しかし、個人が食の問題で唯一寄りどころとできるのも家庭の台所です。毎日の食べる営みを足元の住の中心テーマとして考えてみようというのが、本書の趣旨なのです。

Posted by: komachi @ July 15, 2006 10:15 AM