060502

Kern

Stationery

kern_1.jpgalpshima のエントリー「Kernの製図道具」を見て、そういえば、私も持っているのを思い出した。

1967年にヨーロッパで入手なんていう由緒正しき物ではないが、ちゃんと持っているのである。

中身はともかく、このケースが素晴らしく、手に入れたのであった。濃いグレーに塗装された、横285mm、縦120mm、厚さ20mmの大きさのアルミ製のケースだ。精密機械のように塗装は結晶塗装(縮み塗装)で、浅く彫り込まれた Kern SWISS の文字も美しい。

kern_2.jpg右側前面の黒プラスチックのレバーを引くとケースは最中の様に180°開く。内部は濃いグリーンの羅紗が張られ、いかにも立派である。

中には中型のコンパス、延長棒、穂替型のデバイダー、分解用ネジ回し、鉛筆芯の一式がある。

もう、墨入れの道具である烏口はない。その替わりのロットリング(これはケルンプロントグラフという)が四本ある。コンパスへの接続金物、烏口のように使うホルダーとステンシルを使ってレンダリングする際の角度を付ける金具も附属している。

手に入れた時にはこれだけが入っていたのだが、左上の大きな横長の凹みにはレンダリング用のステンシルが入っていたのであろう、と想像している。

このアルミ製ケース入りの製図器セット、選択された器具は簡素にして必要十分、これから製図を学ぼうとする初学者向けのセットと思う。スイスの専門学校生徒が入学時に用意する学用品ではないかと想像している。美しい。

kern_3.jpg

1985年頃、渋谷東急ハンズの年中行事「ハンズメッセ」で手に入れたものだ。あの頃のハンズメッセはこんな掘り出し物がいっぱいあったのである。これと一緒に、ロットリングと同じケルンプロントグラフのセットを二種類ゲットしてご機嫌であったのである。

しかし、今、こんな製図器具自体が骨董品になりつつある世の中、ちょっと寂しい感じがする。

Posted by 秋山東一 @ May 2, 2006 12:02 AM
Comments

alpshima さん、どうもです。
今回、しまってあったのを出してきて、まさしく「棚卸し」して、ひさしぶりに、しみじみ眺めました。
ケースのラッチ部分の完成度、やはりすごい。材の厚さも十分、バネも効いて、完璧な使い勝手です。引き手部分がプラスチックなんていう異種材を使うと破綻をきたす例が多いような気がしますが、なんともです。

Posted by: 秋山東一 @ May 2, 2006 10:53 AM

AKIさんとは、他人ではないように思われてきます。
私もこのケースの素晴らしさに惹かれました・精密工業の国らしく見事なデザイン、ロゴの控えめながら品格のある収まりなど、
技術と意匠が見事なマスターピースですね。

Posted by: alpshima @ May 2, 2006 10:23 AM