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ウェブ進化論

BOOKS , Internet/Web

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ウェブ進化論ー本当の大変化はこれから始まる
ちくま新書

著者: 梅田望夫

ISBN: 4480062858
出版: 筑摩書房
定価: 740-円(+税)

何事も Google で検索し、Google Earth で地球を眺める日々だ。まぁ、このブログに記述していること自体、現在のネット社会のサービスを享受している自分がいる。そんな世界を概観してみようと本書を手に取った。

本書の腰巻きには将棋の羽生善治の言葉「これは物語ではなく現在進行形の現実である。グーグルとネット社会の未来について、希望と不安が見えてくる。」とある。


目次
序章 ウェブ社会—本当の大変化はこれから始まる
第1章 「革命」であることの真の意味
第2章 グーグル—知の世界を再編成する
第3章 ロングテールとWeb2.0
第4章 ブログと総表現社会
第5章 オープンソース現象とマス・コラボレーション
第6章 ウェブ進化は世代交代によって
終章 脱エスタブリッシュメントへの旅立ち


本書はインターネットの「こちら側」と「あちら側」の違いをはっきりとさせながら話を進める。ネットに結びついたリアルな物に囲まれた世界としての「こちら側」と、まったくバーチャルな世界としての「あちら側」との違いだ。「あちら側」とはインターネット空間に浮かぶ巨大な情報発電所ともいうべきバーチャルな世界なのだ。我々の享受しているサービス、それらを提供している全ては「あちら側」にある。まさしく Google はそこにあるのだ。
Google という巨大な情報発電所が何を生み出し、何を変えてしまうのか。ネット世界の「三大法則」、神の視点、新しい経済圏、失われた価値の集積、それはどういう革命なのかが語られていく。

今、ブログは一億総ブログという雰囲気だが、ほんの数年前のブログ草創の頃、ブログをやっているのは皆、IT関係者だった。本書もIT関係者に向かって語っているような所があって、我々、リアルな世界を相手にしている感じとの差異をやや感じる。
かえって、本文の将棋の羽生善治の話に感じるところがあった。ネット社会での現在の将棋界の話だ。「ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています」とある。この高速道路によって多くの将棋界を目指す多くの人達が敏速にあるレベルに到達しても、その先、その渋滞を抜けるのには、全く別の要素があるのを羽生は直感しているのだ。彼は語る「聴覚や触覚など人間ならではの感覚を総動員して、コンピュータ制御ではできない加工をやってのける旋盤名人の技術のようなもの。それがどういうことなのかに、ものすごく興味があります」と羽生は言っているのだ。人間の能力とは何か、それは、人間とは何かという設問なのだと思う。

アナログからデジタルへ、その進化が作り出したのがこのウェブ社会だ。その革命、大きな潮流の中にも、その最後の拠り所は人間の中にある、と思いたい。

Posted by 秋山東一 @ May 1, 2006 06:12 AM
Comments

わたしのiBookは、またおかしくなりました。直角以上にディスプレイを倒すと、消えてしまうのです。ところで、この本は、これから出かけるので買ってこようと思いますが、さすがに羽生はかしこいですね。渋滞は、こちら側でなければ解決できないのだということであってほしいですが、向こう側で解決できるように環境やルールを変えてしまうということにならないともかぎらないですが。

Posted by: 玉井一匡 @ May 1, 2006 09:54 AM