雨の追憶-図説三億円事件 | [ BOOKS ] |
1968年12月10日(火曜日)、私は東事務所のスタッフとして原宿セントラルアパートの一室に、いつもの通り製図板に向かっていた。冷たい雨が降っている日だった。
昼過ぎに電話がかかってきた。明治通りを挟んだ向かいのグリーンファンタジアに事務所のあるウルテックの万博チームの一員の大行征からだった。「ただ今、反国家的犯罪が行われました」と、うれしそうに話した。
雨の追憶-図説三億円事件 真相究明ガイドブック
著者: むらき けい
ISBN: 4286004619
出版: 文芸社
定価: 1,785-円(税込)
事件の舞台であるあの辺り、良く知っている場所ではあるが、三億円事件自体に特別に興味があるわけではない。
本書の図説(図を入れて説明すること。新明解)に大いに興味を持ったのだ。筆者 むらき けい のプロフィールには「俯瞰図説家」という今まで見たこともない職能の名前があるのだ。見開き100枚に及ぶ図解、図説によって迷宮入りした「三億円事件」の全て再構成し「真相究明ガイドブック」というわけなのだ。
決して絵が上手というわけではない、その情報を見開き2ページ分にまとめるという、その図説の手法が面白いのだ。事件の全体の状況、地図的な俯瞰図、時系列に基づく図解、証拠品図解、証言図解、推理図解........等々、図説についての手法便覧と見ても大変面白いものなのだ。
Posted by 秋山東一 @ December 10, 2005 12:51 AM私、大行征がこの事件を知ったのは、原宿交差点の交番の並びにあるそば屋のテレビ。昼食のとき。
時代は「あらゆる犯罪は革命的である」なんて風潮のなかの出来事。流血なし、損失なし、その衝撃をakiさんに連絡したのだと思う。