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耐震強度偽造

Architecture

話題にしたくもない、とんでもない話だが、この事件を起こした輩、仕事に対して何の責任感もモラルを持ち合わせてないのはよく分かった。しかし、彼だけの特別な事として考えるのは無理がある。この業界自体の歪みがこのような事件を起こしているのであろう。最初、報道された事実に、やや違和感を感じていたが、徐々に解明されていく事実で、やっとこの事件の形が見えてきたようだ。

最初、「首都圏でマンション構造計算書偽造、耐震性不十分の恐れ」という報道された。国土交通省が、千葉県市川市の建築設計事務所が、東京、千葉、神奈川の1都2県のマンション20棟とホテル1棟などの設計に必要な、耐震性にかかわる構造計算書を偽造していたと発表した。

そして、構造計算書を作成した姉歯(あねは)建築設計事務所と、その建築確認申請を審査し確認した民間検査機関イーホームズに、その批難が集中し、この事件全体の構図が見えていない感じがあったのだ。

本来、構造設計を任とする構造設計事務所が構造図、構造計算書を作成しても、確認申請業務を成すことはまれであり、本来、確認申請業務を成した、いわゆる設計事務所(もちろん、一級建築士事務所の)に、その設計、構造計算書についての責任をとるべきなのではないかと考えていたからだ。その設計事務所が、何も明らかになっていない。

やっと、それが明らかになってきたのだ。

耐震強度偽造 施工業者、関与否定 各社に「姉歯」仲介  2005年11月20日12時12分

 耐震強度が偽りだった建物21棟の大半に、東京と熊本の業者2社が建築主や設計・施工業者として関与していた。これらの物件で姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)に構造計算を任せた各設計会社は、2社側から姉歯を使うよう頼まれたと東京都の調査に説明している。2社は姉歯の不正について知らなかったとし、偽造への関与を否定している。

 21棟のうちマンション12棟は不動産会社のヒューザー(東京都千代田区)が建築主で、その多くを含む少なくとも13棟は木村建設(熊本県八代市)が施工を請け負っていた。

 21棟のうち姉歯が設計を直接請け負ったのは3棟。それ以外は設計業務を受注した別の設計会社から構造計算を再発注されていた。その大半で姉歯と各設計会社の接点になったのが木村建設だった。

 各設計会社は「木村建設と構造計算の契約を結び、木村建設が姉歯に下請けさせた」「設計・施工のすべてを木村建設が事実上行った」などと都に説明。「建築主が姉歯と直接契約した」「構造計算は建築主の指示で姉歯に委託した」と答えた社もあった。

 ヒューザーは取材に対し、98年末ごろ、マンション建設を依頼した木村建設から「構造計算に使ってほしい」と姉歯を紹介されたとしている。幹部社員は「問題があると知っていれば姉歯を使わないように手を尽くしただろう」と話す。

 木村建設は熊本県内有数の建設会社。都には姉歯を使った理由を「仕事が速いから」と説明した。木村盛好社長は19日に出したコメントで「見抜くことができなかった意味で道義的責任を痛切に感じている」「ただちに対応策を講じたいが、規模の大きさから、弊社のみで対応できるレベルをはるかに超えている」などとする見解を明らかにした。東京支店の社員も19日、「不正は一切知らなかった。そんなことをしても会社に何のメリットも無い」と話した。

 21棟の中には木村建設とは無関係の物件もあった。3棟の建築主だったサン中央ホーム(千葉県船橋市)に姉歯を紹介したという地元の建設仲介業者は取材に対し、「6年ほど前にサン中央に姉歯を紹介した。姉歯に裏切られた思いだ」と説明している。

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元請け設計6社告発へ 耐震強度偽造で国交省  2005年11月20日12時13分

 千葉県市川市の姉歯建築設計事務所がマンションなど21棟の構造計算書を偽造していた問題で、国土交通省は19日、構造計算書の作成を依頼した元請け設計業者6社についても、建築基準法違反の疑いで警視庁に告発する方針を固めた。

 対象は、スペースワン、シノケン、エスエスエー建築都市設計事務所、木村建設、森田設計事務所、下河辺建築設計事務所。6社は、姉歯建築設計事務所が偽造した書類に基づいて建築確認が出た首都圏のマンション、ホテル計21棟のうち18棟の設計者になっている。残り3棟は姉歯が設計しており、国交省はすでに姉歯の告発方針を固めている。

 偽造の構造計算書は、建築基準法上、元請け設計業者の名義で作成されたことになっている。国交省は、適正な設計をすべき6社が書類の偽造を見過ごした点についても責任を問う必要があると判断した。

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国土交通省: 姉歯(あねは)建築設計事務所による構造計算書の偽造とその対応について

Posted by 秋山東一 @ November 21, 2005 12:04 AM
Comments

耐震強度偽造劇(演出 国土交通省)
(事例1)
12月1日は当地京都府でも2件の物件が発覚しました。京都府の見解としてテレビで聞きましたところ、問題の発生がわかってから最初は、担当機関で調査を行い問題なしと発表していたが、今回外部の建設コンサルタントに以来して再計算したところ不正がわかった。また確認審査の時点では構造計算書の再計算の義務はなかったと申しているらしい。ちなみにこの物件は京都府土木事務所が審査しております。
(事例2)
12月2日 事件の渦中にある民間検査機関の社長がテレビで「膨大な内容の構造計算書を確認審査の時点で詳査する義務はない」と発言しております。
(事例3)
12月5日これもテレビで大阪のホテルの耐震強度の偽造が見つかった、ホテル側が独自で再計算を依頼した結果でした。大阪市はその前に問題なしと発表していたらしい。この手の発表は他に多数あり。

行政でも民間検査機関(実質の検査員は殆ど行政出身者)でも堂々と確認審査の過程で構造のチェックをしていない事をのべております。みなさん何かおかしいとは思いませんか!建築確認審査で最も大切と思われる強度のチェックを殆どやっていないことを自ら表明してはばからない彼ら公務員及び元公務員の傲慢さ!何もしていないのだから責任も感じていないのですね。大騒ぎをしているわりには真相は掘り下げられていませんね。もはや人間喜劇を観賞しているようなものではありませんか。立派な官僚を上にいただく我々は、ただ感謝、感謝


Posted by: 観客 @ December 6, 2005 07:59 PM

こんにちは。
私も同様な業種なのでびっくりいたしました。
しかし、報道の先走りが見えて実際、具体的な所が見えていなかったのでハラハラしていましたが、やっと解明してきましたね。
姉歯だけでなくて、それに関わった設計事務所がなぜ気づかなかったのか?
私は色々経験してきたなかで似たようなのを実際経験し疑いを持ち、多くの大手がこのような手法をとっているような気がします(経験上)。また、世の中がそうなっているような気がしてならないと感じています。
私は一番に行政の仕事ぶりに疑いを持ちます。行政もけっこうずさんな気がしております。(経験上)

Posted by: urban+ @ November 21, 2005 12:57 PM

本当に、ずさんな話ですね。こんばんは。
問題の物件を買わされた方は、泣くに泣けません。

パキスタンの大地震でも、イスラマバードで、一軒だけ崩壊したビルというのがありました。今回の事務所が、創ったビルだけ大地震の時に、ひどく壊れるのでしょうね。インチキがはやく分って良かったです。

それから、八月の宮城県沖の地震で、停止した原子力発電所は、今も全機止まったままです。M7クラスの地震で、過去五万年で最大と想定していた地震加速度を超えてしまったのだそうです。これも、コストを抑える作為だったのでしょうか。
原発が、第二のアスベスト問題にならないように祈っています。

Posted by: U-2 @ November 18, 2005 11:45 PM
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