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コンピュータ利用とフォルクスA

OM/VOLKS HAUS

コンピュータ利用とフォルクスA フォルクスA紙上設計塾 Vol.3
共有テック /1999年1月号
OMソーラー協会 発行
(981202)


コンピュータ利用とフォルクスハウス
フォルクスA紙上設計塾 Vol.3


●有益なデータを生み出すCAD

フォルクスハウスはコンピュータ利用と不可分で考えられました。部品の開発、部材の開発、それらの全図面はCADで作られました。又、実際のシステム運用もコンピュータを利用する方向で進めてきました。
キャドCADは Conputer Aided Design を省略してCADといいます。日本語に翻訳すれば「コンピュータ援用設計」なんて長ったらしいことになるのでCADキャドとよばれます。
コンピュータは製図版と丁定規の代わりというのは大きな間違いです。それはまったく異なる道具です。コンピュータで一本の線から図面を作る必要があるとは思えません。コンピュータは手の延長というよりも頭の延長というべき物なのです。
住宅を設計しそれを作るという仕事にもCADは大変役に立つ道具です。それは図面を作り出すというよりも必要なデータを作り出すと言い換えたほうが発展性のある考え方といえます。コンピュータの中に沢山の部品を作り出し、それを組立て一軒の住宅を作り出す。それは沢山のデータを組み合わせて、一軒のデータの集まりを作り出すということです。
フォルクスハウスはそれを前提に作られたものなのです

●「伏図キット」から「Mac no Uchi」

フォルクスハウスができて程なく「伏図キット」というフォルクスハウス用のアプリケーションを作り、皆さんに使っていただいています。使っておられない方に説明しなければなりません。
「伏図キット」はコンピュータ画面上にフォルクス部材を配置することにより伏図を作製するアプリケーションです。図面ができると同時に部材の数量を自動的に計算していきます。在来工法の「木拾い」です。同時に単価が入っていれば見積もりまでできてしまうという仕掛けになっています。それだけでも十分な機能ですが、MiniCADの3次元表示の能力を使って透視図として組上がった躯体を確認チェックすることができるのです。間違った部材を使っているのを発見し訂正したりすることができます。便利でしょ。
フォルクスハウスのそんな実務的なアプリケィションがいろいろあります。確認申請用テンプレートとか、なかなか便利な道具です。

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そんな中でフォルクスハウスのプランニングの考え方を整理していく過程のなかで「Mac no Uchi 」をプランニングの手法を考えつきました。これはコンピュータなしには考えられない手法なのです。平面を構成する要素をユニット(単位)の集合体と理解し、そのユニットをMグリットに配置していくという手法です。ただのルールだけだった設計システムも、これで初めてフォルクスハウスの設計システムが出来上がったと考えています。

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●インターネット

今はやりのインターネット、 世界中の WWW(ワールドワイドウエッブ)をかけめぐるネットサーフィンやEメールが多くの人達に受け入れられつつあります。協会のホームページも多くのユーザーが訪れるようになりました。
「伏図キット」も LANDship のホームページからダウンロードするようになりました。もちろん、そのマニュアルもホームページ上で読む、あるいはダウンロードします。これによって事務所でディスクにコピーし送ったり、マニュアルを印刷製本して送るという作業がなくなりました。敏速に、間違いをなおしたり内容を更新することができるようになりました。
最近、アップル社から新しいコンセプトのコンピュータ iMac が発売されました。そのデザインやらその性能はすばらしいものなのですが、一番新しい、いままでなかったことは、その使用説明書にあたるものがなにもついていないのです。それはなにも不親切とか単純だからということではありません。それはインターネットに接続する、あるいはしてあることを前提になっているからなのです。全ての必要な説明はインターネット上から得られます。 iMac の i は internet のアイだそうですが。
今、電話ファックスを使わない人や使えない人はいないでしょう。それと同じようにコンピュータを使うようになるのです。全ての情報をネットワークから得られるような状況が、もう目の前にあるのです。
もう既にホームページやEメールを十分使いこなしておられる方も大勢いらっしゃることと思います。そうなっておられない方も、皆さん設計の道具としてコンピュータをお使いでしょう。そのコンピュータはインターネットにつながっていますか。もうつながなければなりません。それはコンピュータが電話ファックスと同じようにコミュニケーションの道具になるのです。
「伏図キット」は伏図という図面を作り出す役割ではなく、必要部材のデータを作り出すことが最大の目的であったということに気がつきました。フォルクスの部材を供給するOMソーラー協会に発注するのに伏図キットで作られたデジタルデータをOCR用紙に転記してアナログデータに変換されているのが今の状況です。デジタルデータがそのまま受注者に届くのが本来の有り様ではないかと考えます。これこそインターネットでつながったコンピュータでの仕事です。
設計という行為がフォルクスハウスでは独立した単独の仕事ではなくなったのです。
全体がつながったネットワークに参加し、双方向に情報を共有しあうことが可能になるのです。住まい手、作り手、考え手も一緒になったネットワークを一歩一歩目指して行きたいと考えています。 


秋山東一
月刊「共有テック」 Vol.011月号 所収

Posted by 秋山東一 @ July 14, 2003 03:00 AM
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