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MAC no Uchi による設計の進め方

OM/VOLKS HAUS

MAC no Uchi による設計の進め方 フォルクスA紙上設計塾 Vol.4
共有テック /1999年2月号
OMソーラー協会 発行
(981211)


MAC noUchiによる設計の進め方
フォルクスA紙上設計塾 Vol.4


●MAC no Uchiは、「幕の内弁当」

今回はこの連載の最初に「フォルクスハウスと MAC no Uchi 」と題して概略にふれた「Mac no Uchi」の実際についてです。
フォルクスハウスのプランニングの手法「Mac no Uchi」とは幕の内弁当から発想されました。
フォルクスハウスはベースという形で基本となる平面形が事前に決定されています。そのベースを重箱に見立てていけばプランニングができると考えました。お弁当の中身を重箱にどう詰めていくのかというのがプランニングです。
中身をユニットといいます。単位です。
鮭の切り身、卵焼き、煮物、酢の物、香の物てなものでしょう。それをどう重箱の中に詰めていくのかがプランニングです。
Mac no Uchi の機能をもった単位、ユニットは玄関、階段、水廻り、厨房、トイレ洗面所の5種類を想定しています。各々、E、S、W、K、Tと記号で呼びましょう。
各ユニットはいろいろなバリエーションが考えられます。例えば階段のSユニットはこんな種類が考えられます。単純な真直ぐのI階段、上がりの最初が直角に曲がったL階段、行って来いのU、そしてゆったりのJ階段の4種類です。ユニットの大きさも1X4、2X2、2X3と決定されます。
同じように他のユニットにもいろいろなバリエーション、大きさが考えられます。とにかく始めてみましょう。

Mac no Uchi の実際
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これが敷地です。北側と東側が道路の角地、南側は隣地の敷地延長部分となっています。なんだか児童公園なんかにしたいような敷地です。

mnu_2.gif<2>
最初に車のことを考えます。
車はがさばるし、動かすのも不自由なものです。
入れやすく出やすい駐車場を先に確保しましょう。

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ベースを選びましょう。
これは710です。

mnu_4.gif<4>
玄関のEユニットを東北角に配置、北側に水廻り、階段のWとSを、厨房は東側に考えました。
残りのスペースがワンルームの居間食堂、なんでもありです。

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こんどは808です。
車は東側です。

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さっきと同じくユニット配置、710とは違った奥行きがあります。

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808のベースに下屋をつけてみましょう。
南西の隅に33、北側に26の下屋をつけてみます。

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北側の下屋に水廻りと玄関をおさめ、階段、厨房だけがベースの中です。
南側の下屋はベースの部分をちょいと借りて書斎にすることにします。

mnu_9.gif<9>
ユニットが配置されたら開口部を決めていきましょう。
眺望、風、光、壁、必要なら吹抜け、彫刻するように大事に作ります。

「Mac no Uchi」は在来の「間取り」といわれる平面の作り方とは異なります。
どんな平面を作り出すのか、違う考え方があるのです。
平面には2種類あると考えています。一つの平面をブドウ型、そしてリンゴ型といいます。それは考え方、その手法にいたるまで異なったものです。
家を部屋の集合と考えるのがブドウ型、家を一つの部屋ワンルームとしてとらえるのがリンゴ型です。
在来型の考え方の「間取り」は部屋の集合を家と考え、部屋の間仕切りを構造体として捉えています。それはブドウ型というべき平面になります。
フォルクスハウスはワンルームから発想します。リンゴのように大きな一つの平面になります。そして構造と間取りは別のものとして捉えます。
それはプランニングを自由にし、変更、改変を可能なものとし、長い年月の生活の変化、設備等の更新に耐える家を作ることができます。平面の考え方の違いはその住宅全体の問題、住まい手の生活まで変えてしまう可能性を持っているのです。

「Mac no Uchi」は、これほどわかりやすい平面の作り方はないと考えています。これから始まるであろうユーザー住まい手と同じレベルでの家づくりのルールの中心になる考え方が「Mac no Uchi」だと考えています。


秋山東一
月刊「共有テック」 INDEX 12月号 所収

Posted by 秋山東一 @ July 14, 2003 04:00 AM
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