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梅原猛氏の怒りをきけ

THINK

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「週間朝日」5月27日号の嵐山光三郎の連載エッセー「コンセント抜いたか!」の「梅原猛氏の怒りをきけ」という表題がちょっと気になった。

今回の大事故のJR西日本について、5月9日付け東京新聞夕刊に梅原猛が書いた「JR西日本のあきれた体質」という記事についてなのだ。それも14年前のJR京都駅ビルの設計コンペの審査員としての話なのだ。

以下、記事のまま。

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それによると、梅原氏は14年前に行われたJR京都駅ビルの設計コンペの審査を依頼された。他のイタリアとオーストリアの著名な建築家と故塚本幸一(当時京都商工会議所会頭)と故内井昭蔵氏(建築家)がいた。
7人の建築家による作品が示され、梅原氏はA氏の作品を推した。それは、伊勢神宮に似た素朴な味があり、古都京都にふさわしく、二人の外国人と塚本氏、内井氏も同意見であった。
激しい議論が行われるなかで、A氏の作品が圧倒的優位を保ち、A氏の作品が選ばれるのは間違いないと梅原氏は確信した。
二日目には個々の作品について激しい議論が行われ、エントリーした中の一人であるH氏の作品は京都に相応しいと思えない、と梅原氏が批判し、外国人建築家は更に厳しい批判をした。この時点で梅原氏はA氏に決まるだろう、と判断した。
議論の三日目、JR西日本側はA氏の作品についていろいろケチをつけ、自社から出した二名の審査員と意のままになる審査員を過半数選び、H氏の作品に決定してしまった。採用する作品はあらかじめ、談合によって決められていた。
この決定を見て、イタリア人建築家は「アイ・アム・アンハッピィ」といって退席し、オーストリア人の建築家も「なぜ、我々の意見を尊重しないのか」と怒り、梅原氏は「これは国辱だ」であると激しく幹部に詰め寄ったが、彼らは「ふふん」とせせら笑うばかりであった。
梅原氏は、怒りのあまりコンペの謝礼金をつっかえした、という。JR西日本の実力者幹部は「このような大きな事業が談合によって決められるのは当たり前だ」といったらしい。
こういうあきれた体質のJR西日本が今回のこのような大事故をおこした、と梅原氏は指摘している。
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1994年の京都遷都1200年の記念関連行事のひとつとして7人の建築家による国際指名コンペによって設計者が決定された。

参加建築家は、以下の7人であった。
池原義郎/バーナード・チュミ(スイス)/黒川紀章/ジェームス・スターリング(英 )/原廣司/ペーター・ブスマン(独)/安藤忠雄


追記 050516

早速、五十嵐さんから、5月9日付け東京新聞夕刊の梅原猛の「JR西日本のあきれた体質ー談合審査に呼ばれた揚げ句…」の切抜きが送られてきた。

Posted by 秋山東一 @ May 16, 2005 04:51 AM
Comments

特に何か違った話はありませんでしたが、アエラも読んでみました。

正直なところ、私は原さんの京都駅ビルは好きではありません。足し算だけでできたような、駅というよりも商業施設の部分が大きいだけのただのちょっとこって作った駅ビルです。景観論争をかわすためだけなら、最初からコンペなんぞやらなくてもよさそうです。

大阪駅の計画が進んでいるようですが、どんなものになるのでしょう。一私企業が決定していいとは思えない重要な施設であるはずですが、この醜態をさらけだしたJR西日本が、それを担えるとは思えません。

鉄道を文化として捉える視点が鉄道施設を決定する、ただの損得で決まっていい施設ではないはずです。

Posted by: 秋山東一 @ May 16, 2005 06:05 PM

この記事は今週のアエラにも実名で書かれていました。
談合と言うよりJR西日本は景観論争の批判をかわすため、一番低い案と決めていたか神の声があったのでしょう。
コンペも案決定のaccountabilityのためでしょう。
参加した原さんはM事務所が断った代わりに参加したと伝え聞いていますので出来レースではなかったと考えています。
真相はわかりませんが。

(ishikawaのはじめのコメントはミスポストです)

Posted by: ishiakwa @ May 16, 2005 10:19 AM

梅原氏はAERA最新号でも、同じ指摘をしておられ、内容を読んで憤懣も当然と思いました。JR西、まったくどうしようもない会社です。

Posted by: Heavier-than-air @ May 16, 2005 10:02 AM