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機関銃の社会史

BOOKS

4582532071.jpg機関銃の社会史 THE SOCIAL HISTORY OF THE MACHINE GUN

著者: ジョン・エリス John Ellis
訳者: 越智道雄

ISBN: 4582532071
出版: 平凡社
定価: 3,200-円(税込)


このブログでよく検索されているエントリーに「カラシニコフ AK47」がある。唯の銃器をそのように語らねばならない現代的な意味があるような気がする。

そんな戦争の近代化の歴史というのか、軍事技術の産業革命の歴史が、この「機関銃の社会史」にある。

機関銃起源、その構想は遠い昔だが、実用に耐えられる機関銃は1800年代中頃登場した。そして南北戦争(1861~1865)で初めて実戦に使用された。この南北戦争では近代的兵器の主要なものが全て現れる。機関銃、ライフル銃、地雷、野戦電信機、蒸気駆動の装甲艦、潜水艦等々、そして鉄道が使われ、大量生産技術によって戦われた最初の戦争になった。その頃の米国は英国につぐ世界第二の工業国であり、それらを作り出しそれを大量に生産する環境があった。
機関銃の登場はガトリング、マクシム、ブローニング、ルイスという米国人の発明家の研究努力に依存している。いまもってこれらの個人名は自動火器の代名詞でもあるのだ。

しかし、そんな高性能な兵器である機関銃が各国の軍隊に受け入れられるのは多難なことであった。それは軍隊という組織の保守性、階級制に原因があった。主に機関銃が使われたのは植民地における原住民の制圧に使われていたのだ。
しかし、1914年、第一次世界大戦勃発、戦争は国家間の総力戦となり、広大な戦場に大量の兵士の動員された、その戦争は機関銃の大量使用、塹壕戦、戦車の登場となっていくのだ。

もう一つの戦争、第二次世界大戦の大量破壊兵器の登場を経た現在の戦争は異なった様相を呈しているようだ。兵士が機関銃を使用することから、普通の人間がカラシニコフを使っているような、そんなカジュアルなものになってしまっているのだろうか。

軍事技術については、それを考えそれに触れることさえ滲み嫌われているが、直視しなければいけない。技術が社会に及ぼす影響は計り知れない、軍事技術はその技術の一つに過ぎないのだ。

Posted by 秋山東一 @ March 31, 2005 08:41 AM
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