041225

クリスマス・イブ

THINK

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サンタクロースがいるいないなんて、子供たちから聞いたり答えたり、プレゼントを隠したりこっそりおいたり、なんてことは、私は随分と昔に卒業しました。

でも、今もってご苦労なさっている皆さんを想像すると、ほほえましく思ったりもしています。

JMM の『オランダ・ハーグより』をレポートされている春具氏の第105回「クリスマス・イブ物語」を読んで、こんなすばらしい話があったのかと思いました。JMM はメールマガジンですので読めない方もおられると思い、ちょっと長いですが引用させていただきます。

もう100年以上も昔だが、読者の皆さんは1897年のこと、ヴァージニア・オハンロンという8歳の少女がニューヨークの新聞、「ニューヨーク・サン」紙に「サンタクロースはほんとうにいるのでしょうか」という投書をしたという有名な話をご存知だろうか。 はじめヴァージニアちゃんはお父さんにサンタさんはいるのと聞いたらしいが、お父さんはわたくしと同じように、それは新聞社の人に聞いたらいい、あのひとたちはなんでも知っているからねと答えたのだという。それで、ヴァージニアちゃんはニューヨーク・サンへ手紙を書いたのでした。

  編集長さま、

   わたしは8才です。
   わたしの友だちにはサンタクロースなんていないんだといっている子がいます。
  お父さんは「サン新聞に問い合わせてごらん。新聞社のひとがサンタクロースが
  いるというなら、たしかにいるんだろう」と、いいました。ほんとうのことをお
  しえてください。サンタクロースって、ほんとうに、いるんでしょうか?

  ヴァージニア・オハンロン
  ニューヨーク市西95番街115番地


この手紙を読んだエドワード・ミッチェル編集長は、この手紙に返事をしたらおもしろかろうと考え、部下のフランシス・チャーチ記者を部屋に呼び、この子どもへの返事を社説として書くようにと命じた。はじめ、チャーチ記者は、なんでオレがこんな子どもの手紙の返事を書かなくちゃあならんのかねとブーたれていたそうだが、まもなく文を書き上げてもってきました。

チャーチ記者の書いた「ニューヨーク・サン」紙の返事を要約すると以下の通りであります。

   ヴァージニア、あなたのお友だちは間違っています。そのひとたちは見えるも
  のしか信じないのです。そのひとたちは、そのちいさなアタマで理解できるもの
  以外は存在しないと思っているのです。

   ヴァージニア、サンタクロースはいるのですよ。目には見えないけれど愛と親
  切と献身とが存在するように。もしこの世界にサンタクロースがいなかったら、
  どんなにつまらないことでしょう。それはこの世にヴァージニアがいないのと同
  じほどつまらないでしょう。そこには、子どもらしい信じる気持もなければ、わ
  れわれに生きる望みを与えてくれる詩も夢もないことになります。子どもたちが
  いるからこそこの世に満ち満ちているあの永遠に輝く光が消えてしまうことにな
  るのです。
  ...

   サンタクロースを見ることは誰にもできません。しかし、それでもサンタクロー
  スがいないということにはならないのです。この世で一番真実なものは大人にも
  子どもにも見えないものなのです。... この世で見えないものの中に隠されてい
  る不思議な魅力をすべて知り尽くし想像し尽くすことは誰にもできません。信仰
  faith, 詩 poetry, 愛 love, romance のみがそのカーテンを押し開いて、その向
  こうにあるえもいわれぬ美しさ、栄光を見せてくれるのです。ヴァージニア、こ
  の世の中にはこれ以上に真実で永遠なものはないのです。

   サンタクロースはいるのです。そして千年後、また千年の十倍のまた十倍の後
  になっても、サンタクロースは子どもの心を喜びで満たしつづけてくれるでしょ
  う。

この話は中村妙子さんが訳され、『サンタクロースっているんでしょうか?』というタイトルで1977年に偕成社という出版社さんから出版されました。高校生の姪の話では、彼女のいま使っている日本の英語の教科書にも載っている話だということです。

私は何も知りませんでしたが、すてきな話ですね。


追記 071225

 ● サンタクロースは実在するのか - Wikipedia


Posted by @ December 25, 2004 05:05 AM
Comments

迎川さん、いのうえさん、今晩は。

どんなクリスマスをお迎えですか。私はクリスチャンではないものですから、この楽しさ、クリスマスであることによる落着き方は、何か借り物のような気分ではあります。長年、子供たちのサンタクロースと付き合ってきましたから、このサンタの話はとてもすてきに感じられました。

何事についてもそうですが、相手の疑問に対し、真摯に向合いきちんと答ええるという当り前のことが、100年前、ここになされていることに感動しました。

Posted by: 秋山東一 @ December 25, 2004 08:56 PM

秋山さん メリクリスマス !!  このお話は 家内を教えた英語の先生の本にも 紹介されておりました。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163655107/250-9777732-8313058

8歳でこの手紙を書いたヴァージニアさんは コロンビア大学卒業後 教師として活躍し、1971年5月 ニューヨークの老人施設で静かに 81歳の生涯を閉じたそうです。 アメリカの新聞は 彼女の死をこう報じました。

「バージニアは 本当に サンタさんを 探しに旅立ってしまいました。」と。

Posted by: いのうえ @ December 25, 2004 06:42 PM

本当に素適な話ですね。
ついつい私たちは、目に見えるものしか信じられなくなってしまいます。
でも、心に見えるものって沢山あるんですね。
「何よりも寂しく辛い事は、自分の心が信じられなくなる事」って歌詞があったように思います。

住宅設計で一番大切な事は、「目に見えない空気と熱の動きをデザインする事」って奥村先生は言っていましたっけ。

Posted by: 迎川利夫 @ December 25, 2004 09:26 AM