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ロバート・キャパ最期の日

BOOKS , THINK

capa_0.jpg1954年5月25日午後3時頃、キャパが最後に撮ったカラー写真。
この後右手前方の土手に上がり地雷を踏む。

今年2004年は、ロバート・キャパがインドシナで亡くなってから50年なのだ。

我が家って「写真は家業」といった感じなのだが、キャパについては中学生の時、「ちょっとピンぼけ」を読んで以来、なんだかすごく親しい感じがするのだ。

一人の日本人写真家がキャパの最期の地を探し出す旅の記録だ。それは著者が写真家であるその眼を通してその場所を探し出す。それは写真の話でもあるのだ。
招待され来日していたロバート・キャパは、急遽、風雲急を告げていたインドシナにライフの依頼によりでかける。しかし、ディエンビェンフーは陥落し、キャパはそれには間に合わなかったのだが、ハノイの南の紅河デルタで仏軍の小作戦に従軍し地雷を踏んでしまったのだ。

その最期のキャパの写真を手がかりに、キャパの最期の場所を探し出すのだ。

4487800110.jpg


ロバート・キャパ最期の日

横木 安良夫 [著]

ISBN: 4487800110
出版: 東京書籍

定価: 1,890-円(税込)



キャパの最期の写真に写された、かれの最期の場所の変貌には驚かされる。仏軍との独立戦争、そして米軍とのベトナム戦争、そして勝ち取った南北ベトナムの統一、そして現在のベトナム経済の躍進、50年、半世紀という時間を感じるのだ。

著者・横木安良夫の「ロバート・キャパ最期の日」サイト


この本の中に、ロバート・キャパの戦前のパリ時代の日本の友人として二人の名前がある。川添浩史氏と井上清一氏だ。「ちょっとピンボケ」を邦訳したのもこのお二人だが、この井上清一氏は、私の東事務所時代の親友、井上清紀氏のお父上である。
本書に登場される、キャパの日本滞在に同行した「カメラ毎日」の編集者金沢秀憲氏は1912年生れで東京写真専門学校の卒業とある。
同じ東京写真専門学校卒の私の父、秋山喜世志は1911年生れであるから、順当ならば金沢氏は父の一年後輩ということになる。
このブログのエントリー「皇紀2594年」のアルバムの写真に写っておられるのかもしれない。
追記 050117

東京工芸大学同窓会名簿 1990年版を見た。
写専、写工専、写大、そして工芸大と変遷著しいが、写真専門学校の第一期から載っている。金沢秀憲氏は第八期(昭和8年)の卒業であった。

Posted by @ November 14, 2004 01:21 AM
Comments

この写真、なにげない要素しか見えない光景なのに、張りつめたものがありますね。それがさすがキャパなのでしょう。たしかに、その後に何がおこったかをぼくたちが知っているということも手伝ってはいるだろうとは思いますが、それを差し引いてもなお、穏やかな日差しと一面の美しい緑の陰にひそんでいる危険な時間。
井上さんからキャパにつながる糸があったとは知りませんでした。

Posted by: 玉井一匡 @ November 17, 2004 11:32 AM