040629

都市モデル読本

BOOKS

C R E A T O R S L I B R A R Y /05
都市モデル読本

栗田 治 著


出版社 共立出版
定価:2,800円+税 ISBN: 4-320-07680-X



栗田治先生(慶應義塾大学理工学部管理工学科教授)からご著作をいただいた。

栗田先生のご専門は都市工学・都市解析だが、面と向かってその学問の内容についてお話ししたことはない。漠然と数式と計算というような世界を想像し、恐れ多く思っていたのである。
しかし、当方も専門は設計だが建築、ずっと近いところにいるはずなのだと思ってはいるのだ。

この「都市モデル読本」は「都市計画・建築計画・OR・管理工学・経営工学を学ぶ学部学生・大学院生に加えて,広く社会モデルに興味を持つ読者に好適なテキストである.」とある。以下はその目次である。

●目次
序章 『都市の数理モデルと研究のエートス』
1章 『ヴェーバー問題と模型解法』
2章 『1次元都市と2次元格子状都市のヴェーバー問題』
3章 『複数施設のミニサム型配置モデルとミニマックス型配置モデル』
4章 『連絡通路と距離分布の作法』
5章 『奥平のエレベータ断面積モデル』
6章 『人口成長の微分方程式モデル』
7章 『人口動態のコーホート要因法モデル』
8章 『人口分布の経験式』
9章 『道路パターンと距離分布の理論』

ゆったりとした紙面を、数式なんぞの部分をさけて、ところどころ拾い読みしてみる。
のっけから、こんな記述に出会った。

....この分野の学者たちは、結果を現実の制御に役立たせることのみを目的とするのではなく、結果そのものがもたらす知的なカタルシス(魂の浄化)に重きを置いているように思われます。工学分野にあっては異色の学問といえるかもしれません。.....

やぁ、そうだったのか。全ての知的世界に共通のものがここにもあるのだ。
モデル分析について説明するくだりは、そのモデルというのはプラモデルと同じ概念であることが語られる。

......元の対象には存在していたものがプラモデルではバッサリと切り捨てられたり、切り捨てられないまでもデフォルメされたりしています。にもかかわらず再現されたモデルを見たり触ったりする人に現物を想い起こさせるのは何故でしょうか。それはモデルのなかに何らかの本質(プラトンの言うイデアに相当しるもの)が保存されているからだと想われます。.........
.....たとえば、周知の”ニュートンの万有引力のモデル”もこうしたモデルの一つであることは言うまでもないことです。........

やぁ、なんともよく分かるのである。とにかくやさしく読まさせてくれるのである。

慶応義塾大学-栗田研究室のホームページ



先生の先生、筑波大学の腰塚先生のお家は、私の設計したフォルクスハウスであったが、栗田先生ご一家のお家は、私の設計でBe-h@us によってこれから建てられるのだ。

Posted by @ June 29, 2004 06:24 PM | TrackBack (0)
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