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言語を生みだす本能

BOOKS

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言語を生みだす本能
著者: スティーブン・ピンカー
訳者: 椋田直子

NHKブックス
定価: 上・下共 1,280-円(税別)
ISBN: 4140017406

MIT教授・言語学者スティーブン・ピンカーの本といえば最近でた山形浩生氏ご推奨の「心の仕組み/人間関係にどう関わるか」だが、この1995年でた「言語を生み出す本能」を手に取ってみた。
上下二冊、人間が言語を獲得するということはどのようになされるのか、についての一般人向けの本なのだ。

言語は文化的な所産というべきものではなく、人間に特有な生得的な能力の所産である、というチョムスキーによる「文法の構造」から始まった言語生得説という考え方に基づいている。うーむ、なかなかであった。大変分かりやすく、言語が思考によって枠づけられるのではなく、生誕のその時から言語という能力を持っていることを、たくさんの列挙された事例を退けながら語っていく。

本書の下敷きにあるノーム・チョムスキーについて最近の政治的な発言については知っていても、彼本来の言語学者としての、その革命的な業績について無知であった自分に気がついた。
ずっと前に何かの本で、アレキサンドリア大王の時代、色彩についての語彙が乏しく、現在の我々が見る風景より色数少なかった........というような話を、私は大変面白く思っていたのだが、言語によって規制される思考というような考えがまったくの誤解であることが分かった。

Posted by @ January 29, 2004 03:33 PM | TrackBack (0)
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