EXPLORER という時計 | [ TOOLS , WEAR ] |
僕はモノにこだわりがない、というのは大嘘だが、時計には格別の思いがある。
僕ら世代、高校受験を控えた中学生の頃に腕時計を買ってもらった。でも、その時計って高校卒業までもたなかったというくらいお粗末な代物であったという記憶がある。その後、いつも父のお下がりの腕時計をしていた。機械好きの父はそれなりの時計をしていて、エニカーとかオメガとかをもらって使っていた。でも、だんだんと世の中、機械式ではなくクオーツ時計になったら、安価で正確な時計だが、別に愛着もなにもないというものになってしまった。
しかし、自分が父親となった時、昔の父のお下がりの時計のことを思い出した。
自分が息子に与えられる時計を使っていないことに気がついたのだ。僕もそんな時計を持っていないといけないと思ったのだ。
そして、僕はちゃんとした機械式の腕時計を手に入れようと思ったのだ。そして、一つの腕時計に決定した。
艶消しの黒の文字盤、蛍光塗料だけの三角形と 3・6・9 の数字の表記、これ以上単純で見やすい文字盤を知らない。オイスターケースと云われる頑丈なステンレススチールをくり貫いた本体、クロノメーターという精度を保証された自動巻きの機械式時計、ROLEX EXPLORER ロレックス・エクスプローラーである。
EXPLORER「探検家」という名前を付けられたこの時計は、1953年エベレスト登頂に使用された時計として広く宣伝され ROLEX の名前を不動のものとしたのだ。
1989年、偶然にアメ横の時計店の店頭にあったのを手に入れた。
その後ほどなく、この Ref.1016 の EXPLORER は1990年に製造中止となってしまった。それは、その後のこの時計の人気というのか、フィーバーとは無縁の頃であった。
手に入れた EXPLORER は日本ロレックスの正規輸入品であった。1016/0-R88XXXX の日本ロレックスの保証書がついているものだったのだ。この正規輸入品のメリットは1年の保証期間終了後もずっとオーバーホール代金が半額になるという特典がある。ずっと使い続けていたが、10年たった1999年、オーバーホールに出した。機械のオーバーホールと同時に、風防ガラス、竜頭等の防水に必要な部品の交換が行われ、ポリッシュされた時計は新品同様となった。
時計は緑色の革張り風の木の箱に入っていた。
箱の真ん中には七宝のロレックスのマークが付いているというこりようだ。その箱がこの紙箱に入っていた。
箱の横には 1016/0-のシールが残っている。