030710

 6. 擬態としての模造

TAU·SHOKEN·KENCHI

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カメレオンなどの動物が、外界の色形に自分を似せて、外界に適応するように、擬態としての模造が存在する。素材の上に、形態・色彩、あるいは装置をつけ加えることによって、原形を模造する。原形に対してその素材がかけ離れた物であればあるほど、そして、その結果(その模型)が、原形に近ければ近いほどすぐれた模造となる。
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カモフラージュ
軍事技術としての一つの擬態、模造行為、軍団、兵器、兵士を素材として形態、色彩、装置を付け加えることによって、外界、周辺の状況を視覚的に模造する。
一つの敵対関係、見るものと見られるものとの対応関係の技術である。
識別の原則
1.関係位置:その存在する外界との関係、長い構造物が線路上に存在すれば、それは列車とみなされるであろう。
2.形態:経験的に、ある物体にはそのもの特有の形体・外観がある。
3.影:そのもの自体よりもその影はよく見える。
4.質感:やわらかいものは暗く、硬いものは明るく見える。
5.色彩:外界との色のコントラストはそのものを見えやすくし、トーンはそのものの陰影を暗くする。
6.動き:動きはそのものの存在を暗示するカモフラージュの技術は、それら識別の原則に対応するものである。見る側の原則を偽き見る目の見え方、その識別の原則を逆手にとる技術なのだ。
一つの模造行為ではあるが、視覚、敵の識別能力に対応した、模造行為なのだ。

変装
仮装・扮装・変装のうちもっとも高度なものである。自分が他人に化けること、他人の模造ではあってもカモフラージュの技術と同じく、その模造を見抜こうとする他人の目に対応する技術が変装術なのだ。その見る物と見られるものとの対応関係がない変装術は程度の低いものにすぎない。
怪人20面相、アルセーヌ・ルパンはそんな変装術ではすこしもおもしろくないの

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「商店建築」1972年11月臨時増刊号所収

Posted by @ July 10, 2003 11:00 AM | TrackBack (0)
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