0. 人造・模造の手法/序 | [ TAU·SHOKEN·KENCHI ] |
現代建築手法百科
人造・模造の手法
1.form
すべての形態は構造の対象たりうる。また、形態の模造は基本的な模造行為の一つである。しかし、完全な模造行為、その完全な模型の制作・所持は犯罪行為と認定される場合がある。公文書偽造等によって罰せられることもあるので注意しなければならない。もし、完全なピストルの模型が完成したならば、銃口をふさぎ、黄色あるいは白色でペイントすればよろしい。
2.Function
すべての生体、機械、組織の機能は模造の対象たりうる。人間は自分の周囲の自然界を模造することをずっと続けてきた。最近、脚光をあびている<バイオニクス>は、模造行為の最たる物である。
「バイオニクスはシステムの科学であって、そのシステムは生体システムに基礎をおくもの、生体システムの特徴をもつもの、あるいは生体システムに似たものである。」
3.material
すべての素材は模造の素材たりうる。原型と模型との素材の差が大きければ大きいほど、その模造行為は高度な物と考えられる。まだ芝生製の自動車は実現していないし、ウンコ製のロウのウンコの模型も作られていない。オモライ氏制作のアカコネ笛は有名である。
4.scale
模造行為の技術として縮尺の技術がある。原形を拡大するあるいは縮小するかは模型の質、その模型の意味を大きく変えてしまう。縮小したリンゴはペンダントにしかならないが、拡大したリンゴは地球にもなりうるのだ。
意味もなく拡大したり、縮小したりしているうちに何かできるかもしれない。
5.deformation
模造行為の技術としてデフォルメは重要な技術である。あまりデフォルメしすぎると何の模造であるかわからなくなってしまう。デフォルメを繰り返すことによって一つの模造行為は一つの原形を生み出すであろう。ただし、デフォルメした千円札はニセ札としての価値を失ってしまう。注意が必要である。
最高の模造は<神>の模造ではない。
最高の模造が<神>なのである。
「商店建築」1972年11月臨時増刊号所収
Posted by @ July 10, 2003 11:06 AM