13. 入れものって・・・ | [ TAU·SHOKEN·KENCHI , TOOLS ] |
LANDship/1997
秋山東一のストックテーキング [13]
「入れものって中味なんだ」
「建築知識」1986年7月号所収
●エアソフトガンなんてものに夢中になってしまった。直訳すると“空気軟銃”という変な名前になって、何だかよくわからないけれど、これはエアガン(空気銃)の威力の小さいという意味なんだ。ところが、これが、これがなかの威力で、ソフトと言うのがはばかられるほどだ。
●事務所で自作の的をスパンスパンと撃っているうちに、今度はこのピストルの本物のホルスターが欲しくなってきた。なにかモノが欲しくなると、矢も盾もたまらなくなってすぐに手に入れ手しまうのが僕のよいところだ---そのホルスターはすぐに手に入った。それは、ビアンキのUM-84という、僕の持っているピストルにドンピシャリのホルスターなんだ。このホルスターというのがまた大変な秀れモノで、材料はプラスチックとナイロンの布なんだけれど、そのメカニズムは中に納めるピストルと同じくらい面白いものなんだ。とにかく今、本物のホルスターにおもちゃのピストルが納まっている。
●そう言えば、最近妙に「入れもの」ばかりが身の廻りに増えてきたような気がする。本が増えれば本棚が増えるのと同じように、色々とモノが増えるにつれて入れもの、容器が増えてきているのだ。しかし、その増えてきたモノどもは、昔からある本とかいう単純なものではなくて、ディスクだったりビデオカセット、CD、LD等々なにか始末におえないものが多い。道具箱に入れる道具にしても、モデュラーコードのコネクターだったり色々なんだ。もっとも僕は、いつもそれなりの入れものを用意してしまうのだが(ピストルは予想できなかったけど……)。
●入れものにも大きく分けると二種類あるようだ。特殊化したモノの、それ専用の入れものと、ユニバーサルな、汎用的な入れもの。前者は、カセットのケースやピストルのホルスターなんかで、後者は筆箱、道具箱、おもちゃ箱そしてカバンといったものだ。そんな専用、汎用の違いはあるにしても、入れもの、容器ってものは中に入れるモノがなければ、それがどんなに秀れていようと機能的に意味をもたないというところが面白い。ピストル(たとえおもちゃでも)なしのホルスターが役にたたないように---。
●僕の事務所にしても、ひとつの“道具箱”みたいなものだ。その空間、隙積の中に色々な道具が入っていて、その隙間に「仕事」なんてものも入っているのだ。しかし、その中味には結構違った機能があったりして、僕の事務所は“おもちゃ箱”だったりするんだよね。
「建築知識」1986年7月号所収
----------- aki/030724Posted by @ July 24, 2003 09:20 AM