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12.「パソコン通信」って・・・

Computer , TAU·SHOKEN·KENCHI

LANDship/1997
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秋山東一のストックテーキング [12]

「『パソコン通信』って新しいネットワークなんだ」

「建築知識」1986年6月号所収


● やっとモデムが手に入って、僕もついに「パソコン通信」の仲間入りをした。モデムってのはコンピュータのディジタル信号を、アナログの音声信号を使う電話回線に送れるようにする変復調装置のことだ。パソコンとモデム、そして電話がありさえすれば、それで道具だては完成だ。これで、電話回線を使って、コンピュータとコンピュータの間でコミュニケーションができることになるのだ。

●「パソコン通信」で何ができるか、という話より、まずやってみよう。まず、モデム、コンピュータに電源を入れ、コンピュータ通信用のプログラムを起動させる。僕の使っているソフトは「スマートコムⅡ」という、なかなかスマートなソフトだ。画面上の電話のアイコン(マーク)をマウスでクリックするだけで、事前に入れてある色々とこむずかしい与条件など気にすることもなく、自動的に電話につないでくれる。「ピー」という発信音を受けると、画面上には「User Number を入れよ」と指示される。「○×△……」と打ち込む。「Pass Word……」。これらを、相手のコンピュータが受付すると同時に、僕は遠く離れたコンピュータとコミュニケーションを開始する。

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● 僕が今アクセスしているのは、BBS(コンピュータ・ブレティンボード・システム)という、これは、電子伝言板というようなものなのだ。1台のコンピュータを伝言板として、電話回線を使って皆で情報を掲示したり、情報を探しだしたりできるシステムだ。個人個人で手紙のやりとりをする電子メールなんてこともできるし、電子会議、オンライン会話と、色々な形でコミュニケーションできる。個人が作り出した小規模のシステムから、大型コンピュータをホストとした大規模な世界的システムまであるのだ。

● コンピュータ・ブレティンボード・システムってものの一番大事なことは、それに参加する人は全て、情報についての受信者であると同時に、情報の発信者でもあるということだ。これは、テレビ、ラジオ、新聞、本といった既存のメディアの一方的情報とは決定的、本質的に異なる点だ。マスコミに対するミニコミでありながら、そのシステムは電話回線を通じて時間的にも、空間的にも全てに解放されているのだ。コンピュータと電話さえあれば、世界中どこからでも、どこのシステムにでも参加できるのだ。

●「パソコン通信」って新しいネットワークなんだ。パソコンと電話回線を使って、未知の人との出会いを可能にし、自己を表現し、他者と情報を分かち合い、新しい人間関係を作り出す。身の回りだけでなく、地球規模でネットワークをつくりだせるシステムなんだ。

「建築知識」1986年6月号所収

そう、これが、インターネット以前のコンピュータの通信の世界だった。この時のモデムはヘイズ・コンパチなんとかボウ、だったな。今、当り前のように常時接続、それも光ファイバーでという以前、こんな世界から先達達が、今を作っていったのだ
-----------aki/030724

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Posted by @ July 24, 2003 09:30 AM
Comments

そうです。林さんがご自宅の Mac をサーバーにして運用されていた MacEvent です。
まだまだ、早々の頃でありました。
中身は英語、あるいはローマ字書きの日本語という不自由な時代でありました。

Posted by: 秋山東一 @ July 30, 2003 03:03 PM

MacEvent懐かしいです。林さんが、浦安でやっていたBBSですよね?パソコンワールドのBBSとか、市川のアメリカ人が開設していたBBSとかで遊んでいました。個人が開設する、という意味では、今のblogに通じるものがありますね。

Posted by: あかぎ @ July 30, 2003 10:39 AM