030724

10. 鉄道模型って・・・

TAU·SHOKEN·KENCHI , TOYS , TRANSPORT

eeikoku nnaroLANDship/1997
ST.GIF

秋山東一のストックテーキング [10]

「鉄道模型ってひとつのシステムなんだ」

「建築知識」1986年4月号所収


●思い出したように、鉄道模型をいじってみた。僕の持ってる鉄道模型は、ナローゲージHOeとかOO-9というスケールの軽便鉄道、まあトロッコみたいな鉄道の模型だ。機関車や貨車はみんな小さくコロコロしていて、9㎜巾の線路をチョロチョロ走り廻るのは、なかなか楽しい。

●鉄道模型ってものの面白いところは、それは決っして機関車模型じゃなくて「鉄道」というシステム、その体系的な模型だというところだ。線路の上を走り廻る機関車や貨車、客車は、全体の中での主役ではあるかも知れないが、その模型の全てではないのだ。

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●イギリスの子供向けの鉄道の本を見ていたら、その本の目次から気に入ってしまった。第一章はインフォメーション、駅のサインや時刻表の話。第二章はシェルター、駅舎やプラットフォームの屋根、その次は待ち合い室やら切符売場、そして階段なんていう順序なんだ。これは、交通機関についての本質、全体をシステムとして理解させようという本なんだ。最初の頁に「 新幹線ひかり号」とか「D-51の雄姿」なんていう本じゃないんだ。その本の中でやっと蒸気機関車の写真が出てくるのは、ただ“エンジン”とある章だけで、それもフードとドリンクという駅のカフェテリア、食堂の話の次に出てくるのだ。交通の話で駅の食堂の話が出てくるのがおもしろいんだけれど、それはよく考えれば当たり前にしてかつ当然のことなんだ。そして更に、「サポート」という章があって、そこには手すりや吊り革、握り棒の話まで出てくるんだ。

●サインにしても、食堂にしても、手すりや吊り皮にしても、ひとつひとつは小さな要素だけれど、それは鉄道という大きなシステムを形作っている重要な部分なのだ。見づらいサインやおいしくない食堂、つかまりにくい手すりや吊り皮なんてものは、そのシステム全体をひどいものにしてしまう。新幹線やバスの色なんかがどうのこうのと論じられることはない。システムのひとつひとつの要素は、それぞれ独立した存在であるけれども、それらの総体が全体のシステムを構成しているのだ。ロンドンの地下鉄やロサンゼルスのバスなんかは、そんなサイン、握り棒、手すりや吊り皮みたいな部分部分がとってもすぐれているんだ。

●まあ、とにかく僕は、軽便鉄道のディーゼル機関車のドアの横に、0.5㎜のピアノ線を曲げて手すりを作ってやった。少なくとも、この手すりは僕の鉄道模型の重要な一要素なんだ。そしてそれは、本物の鉄道にとっても同じことなんだ

「建築知識」1986年4月号所収

この頃はまだナローゲージを面白がっていたんだ、と気がついた。早く、1番ゲージの話をこっちにもってこないといけない。でも、このシステムなんだという話はすごく重要なんだと考えている。
ここに紹介している英国の子供向けの鉄道の本は、ほんとにすばらしいものなのだ。目次だけでも今度紹介してみようと考えている。
-----------aki/030728

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Posted by mine @ July 24, 2003 10:00 AM
Comments

「ねじ式」じゃないけど、銀座松屋のインターネットサイトを見たら、デザインギャラリーで「neji ねじ一その用と美」を8月11日まで開催してます。
日曜旋盤工・秋山さん必見の展示会だと思います。

Posted by: 五十嵐進 @ July 28, 2003 11:20 PM

了解しました。
いつかも知らせてくれたと思いますが、五十嵐さんが鉄道模型界に精通しているのが不思議です。

Posted by: 秋山東一 @ July 28, 2003 10:07 PM

銀座松屋で第25回鉄道模型ショウ2003が開催されます。
期日は7月30日から8月4日まで。

Posted by: 五十嵐進 @ July 28, 2003 09:56 PM