030617

Die Villa Tugendhat

Architecture , BOOKS

6月15日、日曜日の夜の TV 番組「世界遺産」はチェコ、ブルノのミースの住宅であった。

このトゥーゲントハット邸は、1930年、この街を一望する丘に一個人の住宅として建てられた。
チェコ共和国として独立国家となった第一次世界大戦の直後、ブルノは繊維工業の街として発展した。この住宅のクライアント、トゥーゲントハット氏は繊維で財をなしたユダヤ人であった。

この画期的な鉄骨とガラスと白い壁の建物は、20世紀の巨匠、建築家ミース・ファン・デル・ローエによって設計された。
私は、このミースの作品についは、オーストリアに在住していた建築家の友人から送られてきた絵葉書でその存在だけは知っていた。絵葉書1枚のその写真はバルセロナのドイツ館の内部を彷彿とさせるもので、それ以上の興味を持ってはいなかった。

たまたま見た、その[世界遺産」で、完全にレストアされミュージアムとなったトゥーゲントハット邸に魅せられた。
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傾斜地に建てられたその家は、道路面からは端正な低い1層のフラットルーフのみ、その水平に長いシルエットを強調し、その豊潤な内部空間を隠している。
内部空間は細い十字型のクロームに包まれた柱に支えられた天井と床、オニックスの薄い壁、ローズウッドの壁が配置された空間、天井から床までのおおきなガラス面、それらの要素が流れるように連続していく空間がある。配置されたミースのスティール家具がその空間を決定的なものにする。

カメラは、その空間を、そしてデティールを見せてくれた。又、その空間を支える設備についても良く見せてくれた。天井から床までの大ガラスがケンドン式に地下に降りていくのには度肝を抜かされた。その地下に装備された空調設備にも、息をのんだ。

カメラはずっと床下に下がっていく大ガラスを執拗の撮り続ける。そして突然、風に揺れるカーテン。美しかった。


ミュージアムとしてのトゥーゲントハット邸のサイトがある。
 ● Villa Tugendhat

Posted by @ June 17, 2003 03:05 PM
Comments

ミースの椅子には「MR」のナンバーがついている。
彼の名前の頭文字をならべたようだ。

-- TVの中のトゥーゲントハット邸。
MR10に肘宛の付いたMR20がダイニング奥にならび、革のMR70とMR90が対面してリビングに揃う。
白黒写真でしか知らなかったくつろぎの椅子「Chaise longue」は深紅だった。
動く映像として見ることができたミースの椅子は美しく、空間と一体化していた。

自分で所有するSergio Mazzaの椅子「Toga」は、2001年を超えても一体化できる家に収まることができないまま、スタックされて部屋の片隅を占領し続けている。

Posted by: 栗田伸一 @ June 18, 2003 12:05 PM

どうも。

きっと住宅1軒(といつても結構な大きさですが)というスケールが、カメラの大げさな作為をゆるさなかったんではないでしょうか。シュッツガルトのミースは見たのですが、巨匠ミースといっても、そのスケールは特別ではなく、かわいいって感じでしたから。

こいつは、正直なところ、実際に見にいきたいと感じましたです。

Posted by: 秋山東一 @ June 17, 2003 04:54 PM

私も見ました。
夕方、放送があるのを知って、いちおう録画もしておいた。
この番組はあまりにも広角を多用した作為的な映像にいつもうんざりするのですが、トゥーゲントハット邸はそうした映像の情報操作に負けていませんでした。
それにしても地方都市が歴史的建築を買い取ってレストアを施し、建設当時の姿に戻す。極東の島国とおお違いですね。

Posted by: 五十嵐進 @ June 17, 2003 04:33 PM