030603

ZeCar

Car , TOYS

LANDship/STOCKTAKING/021021

ZeCar.top.jpg


最近のお気に入り、ZeCar である。
ただのフリクションの4輪車である。

スティールの枠組に5個の車輪がついているが、真ん中のソリッドな大きな車輪が弾み車で、2本の車軸にプレスしたスティール製の4個のゴム車輪がついている。玩具というよりは、なにか科学実験用試作品あるいは概念模型という印象なのだ。
ひどく単純な4輪車で、大型の弾み車によって強力なトルクを発生し2段ギァによる減速によって、すこぶる堂々と、力強い走りを見せる。昔のブリキ玩具、床にビュンビュンと擦って手を放すと、床をすっとんでいくブリキの自動車とはずいぶん趣が異なる。ちょこっと押しただけで動き出すし、何度か擦って回転を上げて放しても、スピードというよりも強力なトルクが売物という感じの大人なのである。


4ヶの穴が開いている直径40mm の車輪は2枚のプレスした薄い鉄板を合わせたものである。中心を真鍮のボスで固定し3mm の車軸に固定される。プーリー仕立てで周辺部にゴムが回る。そのゴム部分が、唯のОリングというところが泣かせる。
どちらが前か不明であるが、 ZeCar の刻印がある側を前とすれば、弾み車は前方の車軸を駆動する、従って、フロントドライブということになる。二組の車軸の片方、後方の車輪は自由回転となっている。
ボディの四角い枠組は 0.7mm 厚の鉄板を使用、しっかりとしたフレームである。
フリクションの要は直径40mm 厚さ6mm の弾み車、十分な質量を確保するため、 2mm 厚の鉄板2枚を 1mm 厚の鉄板2枚で両側からサンドイッチした構造、車輪と同じく周辺部はОリングのゴムが回る。芯棒は8枚刃の長いピニオンである。軸受けはナイロン製でスムーズな動作を保証する丁寧な設計だ。
弾み車の駆動力は中間の36枚のギァと12枚のピニオンの組合せを介して、最終36枚のギァの付いた車軸に伝達される。
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 全長    90mm
 全幅    60mm
 全高    60mm
 車軸長   50mm
 全備重量  136g
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きれいな数字が並んでいるが、意図的に丸めたものではない。全ての数値は実測したもので、設計上の寸法というべきものである。寸法に対しての美学を感じる。Design by Chico Bicalho 南米系のアーチスト Chico 氏がデザインしたようである。販売元のサイト( www.kikkerland.com )には彼のデザインしたゼンマイ玩具が並んでいるが、それらも全て奇妙な独特の味のある玩具群である。
ZeCar は何にも似ていないし、何かに似せようともしていないことに注目しよう。
最近の玩具が、それだけで存在するのを忘れ、何か他の形態に依存して、あるいは依存しようとしている傾向があるように感じられる。本来、概念的あるいは抽象的な構築物であってしかるべきものが、その上にキャラクターという形態を被せて登場させられているのは、ひどく低級なことに思える。
ZeCar は何にも似ていないし、何かに似せようともしていない。一つの概念模型という形態で、今、ここにあるのが嬉しい。

箱書きに下記のような説明があった。
ZeCar が登場したのは私達を楽しませるという目的以上に重要な役割があるとのこと。ZeCar によるロイヤリティ収入はブラジルのリオデジャネイロ州の熱帯雨林の再生の費用にあてられるとのこと

Zecars are so very cool.


Posted by mine @ June 3, 2003 04:35 AM | TrackBack (2)
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