キッチン・ストーリー | [ Cinema ] |
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この禿げた老人と、禿げかかった中年男が主人公だ。
食卓らしきテーブルに座る老人と、プールの監視員よろしく高い椅子の上から監視してノートをとる男……。
そこがこの映画のシチュエーションなのだ。
ノルウエー出身 Bent Hamer ベント・ハーメル監督による、2003年のノルウエー・スウェーデン合作映画 Kitchen Stories「キッチン・ストーリー」だ。
ノルウェーの田舎で一人暮らしをしている老人イザックの元へ、奇妙なトレーラーを引っ張った小型自動車に乗ってフォルケなる男がやって来た。
主婦の台所仕事が世界的に重要視され、台所の規格やらを決め始めた1950年代初頭、スウェーデンの家庭調査協会 HFI は、ノルウェーとフィンランドでの独身男性の台所での行動習慣を調査しデータ化する事業を始めた。
フォルケはその家庭調査協会の調査員であり、国境を越えてスウェーデンからノルウェーにやってきたのだった。
イザックは「馬」がもらえるという理由からこの調査に応募していたが、彼が手にしたものはスウェーデン特産の赤い「馬の人形」だった。応募したことを後悔したイザックは、フォルケを家に入れることを拒否していたが、数日後、ようやくあきらめたイザックの家の台所で三週間にわたる調査が始った。
調査される側と調査員との間には「お互い会話してはならない」「家事を手伝ってはならない」等のルールがあるが……、だんだんと……。
自動車好きには、1950年代の自動車、ボルボPV544、そして、奇妙な流線型トレーラー。上司の車はアメ車かな……、最後の方に出てくるメルセデスの救急車も美しいなぁ。スウェーデンからノルウエーの国境越えは左側通行から右側通行へ……、スウェーデンって1967年9月3日に右側通行に変えるまで左側通行だった……、初めて知ったのだ。
この映画、まったく知らなかったのだが、FB上での龍谷大学社会学部教授の脇田健一氏のエントリーで知った、……感謝。
ありがとうございました。
実に……、複層的に、大いに楽しめましたです。
ご満足いただけたようで、何よりです。
Posted by: 脇田健一 @ January 26, 2018 03:59 PM