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トラクターの世界史

BOOKS

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トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち
中公新書 2451


著者: 藤原 辰史


ISBN: 978-4121024510
出版: 中央公論新社

価格: 929-円(税込)


このような本を待望していた。

私は乗物としての……、メカニズムとしてのトラクター、農業用に限らずトラクターは大いに好みの機械なのである。
従って、玩具としてのトラクターは何台か持っているし、絵本もあるのである。

しかし、それは鉄道模型の世界で言えば……、カッコいい機関車への興味しかないのと同じように思えた。その機械の周辺、その歴史の情報が欠けていたのだ。

農業史であったり、社会科学の視点等々あるのだが、私にとってトラクターという機械が、地に這う機械としての存在を感じさせてくれる考察なのだ。
これで初めて、宏大な米国の農地、ソ連、ウクライナの農地……、そんな世界でのトラクターの有様が想像できるというものだ。


目 次
    まえがき

第1章 誕生―革新主義時代のなかで
    1 トラクターとは何か
    2 蒸気機関の限界、内燃機関の画期
    3 夜明けーJ・フローリッチの発明

第2章 トラクター王国アメリカ―量産体制の確立
    1 巨人フォードの進出ーシェア77%の獲得
    2 農機具メーカーの逆襲ー機能性と安定性の進化
    3 農民たちの憧れと憎悪ー馬への未練

第3章 革命と戦争の牽引―ソ独英での展開
    1 レーニンの空想、スターリンの実行
    2 「鉄の馬」の革命ーソ連の農民たちの敵意
    3 フォルクストラクターーナチス・ドイツの構想
    4 二つの大戦下のトラクター

第4章 冷戦時代の飛躍と限界―各国の諸相
    1 市場の飽和と巨大化ー斜陽のアメリカ
    2 東側諸国での浸透ーソ連、ポーランド、東独、ヴェトナム
    3 「鉄牛」の革命ー新中国での展開
    4 開発のなかのトラクターーイタリア,ガーナ、イラン

第5章 日本のトラクター―後進国から先進国へ
    1 黎 明ー私営農場での導入、国産化の要請
    2 満州国の「春の夢」
    3 歩行型開発の悪戦苦闘ー藤井康弘と米原清男
    4 機械化・反機械化論争
    5 日本企業の席捲ークボタ、ヤンマー、イセキ、三菱農機

終 章 機械が変えた歴史の土壌

    あとがき

     参考文献
     トラクターの世界史 関連年表
     索引


Posted by 秋山東一 @ October 11, 2017 12:32 AM | TrackBack (0)
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