トラクターの世界史 | [ BOOKS ] |
私は乗物としての……、メカニズムとしてのトラクター、農業用に限らずトラクターは大いに好みの機械なのである。
従って、玩具としてのトラクターは何台か持っているし、絵本もあるのである。
しかし、それは鉄道模型の世界で言えば……、カッコいい機関車への興味しかないのと同じように思えた。その機械の周辺、その歴史の情報が欠けていたのだ。
農業史であったり、社会科学の視点等々あるのだが、私にとってトラクターという機械が、地に這う機械としての存在を感じさせてくれる考察なのだ。
これで初めて、宏大な米国の農地、ソ連、ウクライナの農地……、そんな世界でのトラクターの有様が想像できるというものだ。
第1章 誕生―革新主義時代のなかで
1 トラクターとは何か
2 蒸気機関の限界、内燃機関の画期
3 夜明けーJ・フローリッチの発明
第2章 トラクター王国アメリカ―量産体制の確立
1 巨人フォードの進出ーシェア77%の獲得
2 農機具メーカーの逆襲ー機能性と安定性の進化
3 農民たちの憧れと憎悪ー馬への未練
第3章 革命と戦争の牽引―ソ独英での展開
1 レーニンの空想、スターリンの実行
2 「鉄の馬」の革命ーソ連の農民たちの敵意
3 フォルクストラクターーナチス・ドイツの構想
4 二つの大戦下のトラクター
第4章 冷戦時代の飛躍と限界―各国の諸相
1 市場の飽和と巨大化ー斜陽のアメリカ
2 東側諸国での浸透ーソ連、ポーランド、東独、ヴェトナム
3 「鉄牛」の革命ー新中国での展開
4 開発のなかのトラクターーイタリア,ガーナ、イラン
第5章 日本のトラクター―後進国から先進国へ
1 黎 明ー私営農場での導入、国産化の要請
2 満州国の「春の夢」
3 歩行型開発の悪戦苦闘ー藤井康弘と米原清男
4 機械化・反機械化論争
5 日本企業の席捲ークボタ、ヤンマー、イセキ、三菱農機
終 章 機械が変えた歴史の土壌
あとがき
参考文献
トラクターの世界史 関連年表
索引