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田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

BOOKS

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田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

著者: 渡邉 格(わたなべ いたる)


ISBN: 978-4062183895
出版: 講談社

価格: 1,728-円(税込)


腐る経済……とは何、田舎のパン屋……って何、という当然の疑問から本書を手に取った。

本書の「はじめに」は次のような文言から始まる。

 「革命は辺境で起きる」
 と言ったのはレーニンだった。もちろんレーニン氏は、マルクスの思想を現実の世界で実現しようとした人だ。
 そして今、マルクスの思想のもとに、日本の辺境で革命が起きようとしている。
 「勝山」という岡山の山のなか、ほとんど知られていないまさに「辺境」。
 そこで静かに起こりつつある革命に、僕は「腐る経済」と名付けた。

 中国山地の中腹にあるその町で、僕はパン屋をやっている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・

本書は、著者・渡邉格 (わたなべ いたる) 氏が、菌に目覚め、マルクスに目覚め、パン屋となり「腐る経済」の実践者となる過程を綴ったものだ。

氏はちょっと回り道して30歳で大学の農学部を卒業し就職……、そこでの仕事の大いなる矛盾に悩む……、のだ。
そして、ちょっとオカルトじみているのだが……、ある晩、夢枕に立った祖父の「イタル、おまえはパンをやりなさい」なる言葉に動かされたのだ。


目 次
はじめに

第Ⅰ部 腐らない経済
 第一章 何かがおかしい(サラリーマン時代の話・祖父から受け継いだもの)
 第二章 マルクスとの出会い(父から受け継いだもの)
 第三章 マルクスと労働力の話(修業時代の話1)
 第四章 菌と技術革新の話(修業時代の話2)
 第五章 腐らないパンと腐らないおカネ(修業時代の話3)


第Ⅱ部 腐る経済
 第一章 ようこそ、「田舎のパン屋」へ
 第二章 菌の声を聴け(発酵)
 第三章 「田舎」への道のり(循環)
 第四章 搾取なき経営のかたち(「利潤」を生まない)
 第五章 次なる挑戦(パンと人を育てる)

エピローグ


パン屋になるべく、パン屋に勤めた氏、そこも又、矛盾に満ち満ちた資本主義的な環境であるのだ。

パンに向きう氏には又、天然菌によるパン作りという新たな課題……。その二つの課題、マルクスと天然菌……、「腐る経済」へと止揚されていくのだ。

 ● 自家製天然酵母のパン屋タルマーリー


追記 150118

現在、勝山の「パン屋タルマーリー」は、2015年4月鳥取県智頭町でのリニューアルオープンに向けて移転準備中だそうだ。

勝山なる所、岡山の山奥……、一度行ったことがあるのを思い出した。
我が国の集成材産業の雄、銘建工業株式会社の本社、工場、バイオマス発電所があるのだ。2006年12月に訪問したことがあるのだ。

ここには、進取の気性のある場所なんではなかろうか。


Posted by 秋山東一 @ January 18, 2015 04:11 PM
Comments

kass さん、どうもです。
銘建工業を訪問したのは、集成材工場見学と、発電所の見学だったのです。社長の中島さんは横浜国大で歴史をやっておられたとか、学究肌の方ですが、なかなかのやり手のようですね。
まぁ、一度だけの短時間の訪問で……、勝山なる場所の気風は分かりませんが、そのような人物を生み出した所ですから……、何かあるとにらんでいます。

Posted by: 秋山東一 @ January 21, 2015 03:56 PM

銘建工業は「里山資本主義」に登場した会社ですね。
岡山の山奥ってそんな気風なんですか?

Posted by: kass @ January 20, 2015 10:03 PM

Shin さん、どうもです。
なかなか、面白い本でしたです。いろんな面で参考になりそうです。革命でもやってみよう……。
まずは、図書館で……。

Posted by: 秋山東一 @ January 19, 2015 11:42 PM

へえー、何だか面白そうですね
買ってみよう

Posted by: Shin @ January 19, 2015 10:37 PM