ハンナ・アーレント | [ BOOKS ] |
最初に上映した岩波ホールを連日満員にしたという……、多くの人々に支持された映画のようだ。
この映画について、そしてハンナ・アーレントという人物について、私が知っていることといえば、映画館で売られているパンフレット以上のことは知らない。
映画を観る前に、本書に目を通しておくのは必須……、読んでから思った。まぁ、……観てからでも遅くない。
1960年代初め、第2次世界大戦下に数百万人ものユダヤ人を収容所へ移送したナチス親衛隊将校のアドルフ・アイヒマンの裁判を傍聴し、雑誌に連載され書籍として刊行されたレポート「イスラエルのアイヒマン ー悪の陳腐さについての報告」で論争となるのだ。
ハンナ・アーレントの結論は、多くの人々が望んでいたアイヒマンをナチの殺人鬼として断罪することではなく、極あたりまえの小役人が為した行為……それは誰でも為せる行為を「悪の陳腐さ」として暴き出したのであった。
それは「我が内なるアイヒマン……」について警鐘を鳴らすものなのだ。
3.11 以降、あの「ポポポポ〜ン」から始まった世界……、悪は、極々普通の顔をして、我々の前を歩き始めているのだ。
第1章 哲学と詩への目覚めー1906ー33年
Ⅰ 子供時代
Ⅱ マールブルクとハイデルベルクでの学生生活
Ⅲ ナチ前夜
第2章 亡命の時代ー1933ー41年
Ⅰ パリ
Ⅱ 収容所体験とベンヤミンとの別れ
第3章 ニューヨークのユダヤ人難民ー1941ー51年
Ⅰ 難民として
Ⅱ 人類にたいする犯罪
Ⅲ 『全体主義の起源』
第4章 一九五〇年代の日々
Ⅰ ヨーロッパ再訪
Ⅱ アメリカでの友人たち
Ⅲ 『人間の条件』
第5章 世界への義務
Ⅰ アメリカ社会
Ⅱ レッシングをとおして
Ⅲ アイヒマン論争
第6章 思考と政治
Ⅰ 「論争」以後
Ⅱ 暗い時代
Ⅲ 「はじまり」を残して
あとがき
主要参考文献
ハンナ・アーレント略年表