140303

エコハウスのウソ

BOOKS

4822274535.jpg


エコハウスのウソ

著者: 前 真之

ISBN: 978-4822274535
出版: 日経BP社

定価: 2,100-円(税込)

先日、これから始るプロジェクトの打合せで、東京大学建築学科・前真之准教授にお会いした。その時、頂いたのが本書だ。

前々から。OMソーラーの本拠地、浜名湖畔の「地球の卵」にある VOLKS S-Pro のモデルハウスでの環境調査を実測されている前研究室ということで存じ上げていたのだ。

建築環境の実践的な計測を通じて、建築環境の研究として最新の知見をお持ちの方なのだ。

本書、なかなかの刺激的な書名……だが、エコハウスは自称、他称いろいろあるが、ここは正式なエコハウスを対象としたものなのだ。そこにウソがある……、ここは聞き捨てならない……、ありがたく頂戴したのだ。


目 次
はじめに

第1章 冷房
 Q.1 家のエアコンは節電の敵?
 Q.2 エアコンなしで夏は過ごせる?
 Q.3 冷房が最大?
 Q.4 住まいは夏を旨とすべし?
 Q.5 選ぶならハイパワーのエアコン?

第2章 夏への備え
 Q.6 暑さ対策は設計段階から完璧に?
 Q.7 通風はクール?
 Q.8 卓越風を信じよ?

第3章 吹き抜け・大開口
 Q.9 もっと光を?
 Q.10 大窓でダイレクトゲイン?
 Q.11 吹き抜けは最高?
 Q.12 次世代基準で断熱は万全?
 Q.13 気密は息が詰まる?

第4章 暖房
 Q.14 暖房で体を温めよう?
 Q.15 空気は働き者?
 Q.16 エアコンは暖房に向かない?
 Q.17 隠せばハッピー?
 Q.18 放射は暖房の救世主?
 Q.19 薪ストーブは原始的?

第5章 太陽エネルギー
 Q.20 ソーラー=太陽光発電?
 Q.21 エネルギーは創り出せる?
 Q.22 屋根に載せるなら太陽光発電?
 Q.23 平時でも蓄電は美徳?

第6章 電力と検針値
 Q.24 HEMSは最強の節電ツール?
 Q.25 省エネよりゼロエネ?
 Q.26 目指せCO2削減?
 Q.27 オール電化はオールエコ?

第7章 エピローグ
 Q.28 結局、エコハウスは必要?


前准教授は、この27の設問について全て NO とし、最後の28番目のQ……「エコハウスは必要?」にのみ YES として、エコハウスなるものの再考をうながすのだ。

氏は、いわゆる「住まいは夏を旨とすべし」……なつむね……をまず否定する。この日本国の首都・東京の気候は、冬はパリ……、なのである。そして、通風……、そして、卓越風の過信を警告する。そして、建築家諸公得意の設計手法……、吹き抜け、大開口を否定していくのだ。

やぁ、新しい知見がいっぱい……、新しい住宅、その基礎となる新しい常識……、大いに勉強の一冊なのだ。


追記 140303

本書の内容とは関係ないが、本の作りが気に入った。紙質、A5 という大きさ、200頁プラスという厚さ……、何か親しめるのだ。


Posted by 秋山東一 @ March 3, 2014 01:09 AM
Comments