イームズ入門 | [ Architecture , BOOKS ] |
この展覧会場で始めて見たものだから、新刊……と思ったら、2004年出版のずいぶんと前からあった本だった。知らなかったなぁ。
そのまま積読状態のものだったのだが、帯の裏側に Charles Eames 1907.6.17ー1978.8.21 とあるのを気が付いた。チャールズ・イームズって亡くなったのは71歳だったんだ……。
やぁ、あれだけの仕事を70歳で成した……、その偉大さに脱帽(当然だけど……)、本書を開いたのだ。
著者の Eames Demetrios イームズ・デミトリオスはイームズ夫妻の孫ということだ。氏は Eames Office イームズオフィスの代表で、自身もフィルム作品も発表しているクリエーターとのことだ。
1 チャールズ&レイ・イームズの多様な世界
2 [ニュートン・カード]
3 ロータ
4 イームズ・チェア 30年のひらめき (第一部)
5 良く学ぶ者
6 広い意味で絵を描くこと
7 メキシコからクランブルックへ
8 チャールズ&レイ・イームズ
9 30年のひらめき (第二部)
10 楽しみには真剣に
11 「ケーススタディ・ハウス#8」
12 映画というエッセイ
13 ゲストとホストの関係
14 制約
15 マテマティカ
16 901文化
17 モデル化
18 「もしオフィスが島だったとしたら」
19 映像が思考になる
20 プレゼンテーション、スケッチ、「パワーズ・オブ・テン」
21 10年を隔てて
22 むすび
謝辞
出展一覧、索引
チャールズ&レイ・イームズの多岐にして多様な世界、そこに通底する思想を語るのが本書だ。
それも [ニュートン・カード] という、ノーベル賞受賞した IBM の江崎玲於奈の受賞記念晩餐会の記念品として考えられ作られた……たった四日間で。このカード制作のエピソードで、イームズの考え、その時代、イームズ・チームの制作現場、その先見性を語る。そして、イームズの「インド・レポート」……、ロータなるインド特有の水を運ぶ金属容器のデザインの話しへ……、徐々にイームズとは何かが語られていくのだ。
数多のイームズの作品集を越えて、イームズの本質を語る……、そして、より深い理解の為のガイドを示す、まさしく Primer 入門書なのだ。
これはエディトリアルデザインの意図……というべきものかも知れないが、紙質、本文の印刷がひどい。結構……読み難いというレベルであると思う。内容がすばらしいのに損をしているなぁ。
同時に開いていた LONDON UNDERGROUND BY DESIGN の紙質、本文印刷の美麗さとは大いなる差がある。