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ジョン万次郎

BOOKS

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ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂
 
著者: マーギー・プロイス Margi Preus
訳者: 金原 瑞人

ISBN: 978-4087734775
出版: 集英社
価格: 1,890-円(税込)

ジョン万次郎の伝記だが、青少年向けの本、それも原題 HEART of a SAMURAI の翻訳本……、これは面白そうだと手にとった。

昔、MyPlace の玉井さんの武蔵の同級生、塚原範之氏が人名辞典を編纂している頃、人名辞典のカテゴリーに「漂流者」なる項目があり、結構な数の人がいるのだ……と聞き、へーっと思ったことがあったのだ。

そんな「漂流者」への興味は、ずっと持続していたのだ。

その漂流者のジョン万次郎の話、漂流から米国の捕鯨船に救助され米国へ、船長の養子として育てられ教育される。そして帰還……、本書はジョン万次郎の正確な伝記というわけではない。ジョン万次郎の漂流から帰還、その彼の辿った軌跡を元に、実在の人物、実際の事件をもとに書かれたものなのだ。


目次
第一部 未知の世界

    一  嵐
    二  鳥島のサムライ

第二部 南蛮人

    三  ジョン・ハウランド号
    四  捕鯨
    五  鯨油
    六  失望
    七  船の仕事
    八  誘い
    九  七つの息
    十  危機
    十一 泥棒と人殺し
    十二 船出
    十三 宝物
    十四 戌の刻

第三部 新しい世界

    十五  ニューベッドフォードとフェアヘイヴン
    十六  サムライ農場の少年
    十七  村に入れば……
    十八  学校
    十九  戦わずして勝つ
    二十  勝負
    二十一 七転び
    二十二 対決
    二十三 愛
    二十四 五月祭のかご
    二十五 樽屋

第四部 帰郷

    二十六 フランクリン号
    二十七 はかない望み
    二十八 機会
    二十九 ウミガメ
    三十  いちかばちか
    三十一 銛打ち
    三十二 クジラ
    三十三 トリ
    三十四 銀盤写真
    三十五 金鉱

第五部 故郷

    三十六 ふたつの故郷
    三十七 密偵
    三十八 大名
    三十九 長崎
    四十  家路
    四十一 侍

    エピローグ
    歴史的な背景について
    参考文献
    訳者あとがき


やぁ、面白かった。万次郎 (John Mung) 自身が描いた図版が沢山あって見ごたえありなのだ。鳥島、捕鯨船、クジラ……。

本書はヤングアダルト向け……、青少年向け……、それも米国人が書いた本の翻訳本だ。まぁ、私はいい年こいたジジーであるのは事実なのだが、ジジーに面白い本が青少年専用というわけではないのだ。


追記 120910

ジョン万次郎については多くの伝記本が出ている。ちょっと何冊か読んでみたいと思っているのだ。

ジョン万次郎は漂流時に14歳、それまで満足な教育を受ける環境になく読み書きの能力も定かでなかったということだが……どうだったのだろうか。

以前、万次郎が作った簡易な英和辞典の事を読んだのだが、いわゆる、日本語でいう女郎屋・売春宿を意味する brothel なる英単語に「悪しき処」なる訳語をあてたという話しを読んだことがある。そのあたりの彼の日本語的な教養なぞを知りたいと思っているのだ。


Posted by 秋山東一 @ September 10, 2012 02:08 AM
Comments

玉井さん、どうもです。
私は、あの時代、日本国以外が開かれていて……という状況がが面白かったですね。とにかく、漂流者には世界が開かれていた……。
それに、捕鯨という世界が面白かったですね。そういえば、大昔に「白鯨」なんて読んだなぁ。

Posted by: 秋山東一 @ September 12, 2012 02:22 PM

コメントを書いたつもりでしたが、「post」ボタンをクリックしていなかったようです・・・面白かった
子供向けのアメリカ版だからでしょうか、人種差別ということが軸になっているようですね。それにアメリカの捕鯨は油だけとって捨てるけれど、日本ではすべて利用するというように、捕鯨についてCWニコルが言っているような視点からも書かれていますね。

Posted by: 玉井一匡 @ September 11, 2012 06:51 PM

横田さん、どうもです。
いやぁ、私は、井伏鱒二のも何にも読んでいなかった。とにかく面白かった。
この本、原書の価格は1/3ほど……、子供向けならば英語で……と、読むのが遅くなってしまったのでありました。

Posted by: 秋山東一 @ September 10, 2012 10:13 AM

ぼくも(7月に)読んだ。米人と日本人という視点で見ても面白い。当時の捕鯨のようすも・・・興味深かった。
昔、井伏鱒二のを読んだことがある。日本人が書いたものと比較してみるのも面白いかもしれない。井伏をもう一度読みなおしてみるか。

Posted by: 横田至明 @ September 10, 2012 08:23 AM