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戦後史の正体

BOOKS

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戦後史の正体
「戦後再発見」双書

著者: 孫崎 享 (うける)

ISBN: 978-4422300511
出版社: 創元社

価格: 1,575-円(税込)

Twitter でフォローしている孫崎享 (うける) 氏の待望の新著がでた。フォロアーの数だけでも4万人弱……、氏への期待がなみなみならぬものがあることが分かる。

氏は元外交官、1943年生まれ、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授……という錚々たるキャリアなのだ。私は、氏が岩上安身氏の勧めによってツィートを始めた時からの読者なのだ。

連投(連続投稿)という形で投稿される、その長文のツイートは、月並みに言えば「目からウロコ」、現代の政治状況の仕掛けが語られていくのだ。

本書の前書「はじめに」は次のような文言から始まる。

「……いま、あなたが手にとってくださったこの本は、かなり変わった本かもしれません。というのは本書は、これまでほとんど語られることのなかった〈米国からの圧力〉を軸に、日本の戦後史を読み解いたものだからです。こういう視点から書かれた本は、いままでありませんでしたし、おそらくこれからもないでしょう。「米国の意向」について論じることは、日本の言論界ではタブーだからです」


目次
    はじめに

序 章 なぜ「高校生でも読める」戦後史の本を書くのか
第一章 「終戦」から占領へ
第二章  冷戦の始まり
第三章 講和条約と日米安保条約
第四章 保守合同と安保改定
第五章 自民党と経済成長の時代
第六章 冷戦終結と米国の変容
第七章 9・11とイラク戦争後の世界

    あとがき
    資料/年表/INDEX


序章にあるように、高校生でも読める……は、防衛大の学生への講義での経験によるものなのだそうだ。実に平易に理解できる日本語の本なのだ。

戦後というか、敗戦後、1945年9月2日に東京湾上の米国海軍・戦艦ミズーリの艦上で行われた無条件降伏調印式から始まった日本の戦後、そこから現代に至る日本の国の形が語られていく。

その文書に調印した重光葵の過酷なる運命、米国の意向に追随し権力を握った吉田茂、天皇も又、沖縄を貢ぎ物にして自身の延命を図る……。まだ読み出したばかりだが、その内容には、帯にある「えっ、これは驚いた!」が相応しい。

今、起きている問題、消費税増税、原発再稼働、TTP、オスプレイ……諸々の問題全てに米国との関係の話しなのだ、最近、ふと聞こえてきた、震災以後の菅直人首相による浜岡原発停止が米国の要請……、その全ての理屈は本書に解き明かされているのだ。

Posted by 秋山東一 @ July 26, 2012 03:07 AM
Comments

やっぱり、Go Home Quickly かな……。

Posted by: 秋山東一 @ July 28, 2012 08:42 PM

「文化的植民地」転覆なんてえと、なかなか即効性が、、、

Posted by: Fumanchu @ July 28, 2012 05:22 PM

FumanchuU 先生、どうもです。とにかく、即効性のある本が欲しい……と思うのであります。

Posted by: 秋山東一 @ July 27, 2012 12:22 AM

占領と憲法
カリブ海諸国、フィリピン、そして日本
北原仁
成文堂 2011

米西戦争でスペインから巻き上げた植民地を、米国の「植民地」にすると何かと手間がかかるから、名目「独立国」ということにして実質「政治的植民地」「経済的植民地」「憲法学的植民地」にしてしまうのがお手軽。というカリブ海諸国の憲法草案が日本国憲法のひな形で、GHQはそれ以外見ようともしなかったのだそうです。

あ、憲法第9条はフィリピンのゲリラ対策ということで。

Posted by: FumanchuU @ July 26, 2012 02:15 PM