120319

原発にしがみつく人びとの群れ

BOOKS

4406055592.jpg


原発にしがみつく人びとの群れ ―原発利益共同体の秘密に迫る

著者: 小松 公生

ISBN: 978-4406055598
出版: 新日本出版社

定価: 780-円(税込)

日本共産党なる党の存在、その政治的スタンスについては大いに疑問を感じているのではあるが、「反原発」という彼らのブレない主張については評価しているのである。

本書は日本共産党政策委員会の委員による百数十頁の小冊子だが、あからさまな書名「原発にしがみつく人びとの群れ」に引かれてゲットし、軽く読んでみたものなのだ。

もう、ネットの世界では常識の「原子力村」と言われる世界、それを糾弾する主張が明快に頭に入るものであったのだ。


 目次
  はじめに

1.ACジャパンと電力業界との知られざる関係

2.原発利益共同体——産業界を総結集した原発推進体制の完成

3.原発推進の最初から形成された「原子力村のペンタゴン」

4.電力業界と原発産業の政治的代弁者——「ペンタゴン」政界編

5.「規制機関」の看板で原発政策を暴走させてきた官界

6.「学問」や「科学」の名を騙って原発を推進してきた原子力学会

7.「原発マネー」に翻弄され、「安全神話」を振りまいてきたマスメディア

8.原子力村のペンタゴンの癒着が生み出す腐敗ともたれ合いの関係

9.原発災害の除染と賠償は、原発利益共同体の責任

  おわりに


本書の冒頭は、あの「ポポポポ~ン」だ。

あの震災・原発事故以降の打ちひしがれた時間、それをますます憂鬱にさせてくれた……テレビ、この音とともにあるのだ。
それを提供してくれたACジャパン……「公共広告機構」なる組織の実態、それが電力会社の広報機関であり、原発推進の一翼を担っていることを暴いてくれる。

政界・官界・財界・学界と、原発推進の為に張り巡らされた「原子力村」の全てが暴れていくのだ。

本書の全ての記述は、【資料】という形で補足される。その全てが公になっている資料、名簿等々で補足されていく。平易な記述でありながら。現在の日本、その原発を巡る世界を抉り出す好冊子なのだ。


追記 120319

本書の書名「原発にしがみつく人びとの群れ」が魅力的なのは「……群れ」なんだろうな。「群れ」には「なかま。同類」の意味あり……、で納得なのだ。


Posted by 秋山東一 @ March 19, 2012 12:20 AM | TrackBack (0)