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コンピュータ・パースペクティブ

BOOKS , Computer

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コンピュータ・パースペクティブ 計算機創造の軌跡
ちくま学芸文庫

著者: チャールズ & レイ・ イームズ Charles & Ray Eames
訳者: 山本 敦子/和田 英一(監訳)
ISBN: 978-4480093844
出版: 筑摩書房
価格: 1,470-円(税込)

iGa さんが、MADCONNECTION本書をエントリーした。何か、その書名「コンピュータ・パースペクティブ」にデジャブ感あり……なのだ。

そうだ、そいつの原書を持っていたわい……と本棚を見た……、いつもはそうはいかないのだが、すぐ見つかった。

Charles & Ray Eame の「A COMPUTER PERSPECTIVE/BACKGROUND TO THE COMPUTER AGE」なのだ。

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A COMPUTER PERSPECTIVE
BACKGROUND TO THE COMPUTER AGE

著者: Charles & Ray Eames

ISBN: 978-0674156265
出版: Harvard University Press
価格: 2,395-円(税込)

さて、原書は持ってはいたけれど読んだというわけではない。栗田さんにいただいた……という記憶がある。非常に興味深い図版、図表、写真でいっぱいなのだが、細かい活字で目に辛い……その上、英文なのだ。

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本書、A COMPUTER PERSPECTIVE は登場する前に同じ名称の展覧会があったのだ。IBM が1971年に開催した展覧会、そのデザインをイームズ事務所が担い、コンピュータという新しい世界を表現する展示会として大いにユニークなものであった。本書はその展示会の図録というべきものなのだ。

ハーバードの科学史のバーナード・コーエン教授による前書きにあるように、コンピュータの起源と初期の発達の沿革をグラフィカルに表わしたもの……とある。バベッジの解析機関の話から始まるのだが、本書は機械としてのコンピュータの発達史というものではないのだ。コンピュータを必要としている環境、社会的要請から始まる……、そして太平洋戦争後、1950年までの歴史、コンピュータという仕掛けが完成する時までの歴史なのだ。

イームズ事務所がデザインした原書は正方形の判型の独特な物であり、その中味のデザイン自体も独特な物である。翻訳本の文庫版が、その著者としてチャールズ & レイ・ イームズとしているのは間違いだ。本のコンテンツと同時に、本の自体デザインまで作り出したイームズ……、文庫判はイームズがデザインしたものではないのだ。

この文庫判は、あくまでも原書のテキストを読むための本として意味があるし、そういう役割の意味でしかないのだ。

下の写真で分かるように、原書1頁が、文庫の見開き2頁となっている。
原書を開いて、その頁を見ながらテキストを文庫の和訳で読む……、というのが正しい読み方ではないかと考えるのだ。
これで、この興味深い「A COMPUTER PERSPECTIVE/BACKGROUND TO THE COMPUTER AGE」が読めることになったのである。

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原書はモノクロではないのだ、部分カラーというようなものなのだ。

追記 120127

本書は1997年にアスキーから出版されていたものを、文庫判にレイアウトしなおしたものだそうだ。すくなくとも、アスキー版は判型もオリジナルと同じく……であったようだ。


Posted by 秋山東一 @ January 27, 2012 02:03 AM
Comments

iGa さん、どうもです。
この頁で、IBM が古くから International Business Machines であることを思い出させてくれますね。もちろん、THINK も古くからであることを、そしてロゴだけブルー……、まさしく、イームズのデザイン……だと思うのです。

Posted by: 秋山東一 @ January 27, 2012 12:18 PM

栗田さん、どうもです。
雪……大変みたいですね。こちら八王子にも日陰には雪、寒いです。
自分で購入したという記憶がありませんので、栗田さんに……と思っています。
やぁ、これで読めますです。

Posted by: 秋山東一 @ January 27, 2012 12:11 PM

「THINK」は写真左で腰掛けているワトソン・シニアが打ちだしたIBMの企業標語...それを逆説的(からかい半分)に仕掛けたキャンペーンが...あれですね。「Think Different. 」

Posted by: iGa @ January 27, 2012 10:14 AM

リンク、ありがとうございます!!
私が差し上げた・・・という記憶がありませんが、いずれにせよ、Akiさんの蔵書にふさわしいタイトルです。
私も翻訳本をたよりに「見る」のではなく「読む」理解を深めようと思います。

雪に埋もれそうな佐渡より

Posted by: Kuirta @ January 27, 2012 09:58 AM