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丸太の斜路

Bricoleur

Beha_ramp_0.jpg讃岐でご案内いただいたベーハ小屋の一つ、直列に並んだ「夫婦釜」と言われるものだが、そこでのブリコラージュされた施設について考えてみた。

ベーハ小屋は現在、農機具置場と作業場に使われているようだが、向い側の主屋との間には畑があり、そこに最短の経路で往き来できる径が作られている。

そして、二つの段差を乗り越える為の丸太による斜路が作られているのだ。

Beha_ramp_1.jpg


主屋の前の道から、まずは畑に上がる。

斜面の上部を削って丸太三本を立てかけて斜路として使われている。それを整えるのに使われているのは、その辺りから拾ってきた石だけである。

Beha_ramp_2.jpgこの石垣は「ベーハ小屋持ち主の近石さん(82歳)の手によるセルフビルドです。若かりし頃、田を切り開いた時に出た石を毎日出勤前に、こつこつ積んだそうです」と讃岐のOさんが教えてくださった。

ここの斜路も、下のと同じく丸太三本を束ねたものだが、垂直に切り立った石垣の段差に据える都合上、柱を立て横木を渡しその上に差し掛けるという構造を成している。

ここでも、それを整えるのに使われているのは、ここにあった石のみである。

この二つの丸太による斜路を見て、ブリコラージュという仕事の有様が明らかに見て取れる。

一つの機能を果たす要件を満たしながら、そこに使われて材料は、次の課題、次のブリコラージュの為に用意された材料のように扱われているということだろう。それは最低限の加工、出来れば未加工でそのまま使われる必要があるのだ。ここに使われた丸太もストックされていたそのままの状態、そのままの長さのまま使われているに違いない。

これは、決してブリコラージュする人、ブリコルールが手抜きをしたわけではない。その材料を将来にわたって材料として保持しようと考えたからなのだ。

このブリコラージュのデザインの性癖が、バラックな美学を形成するのではないかと考えているのだ。


Posted by 秋山東一 @ February 27, 2011 05:47 PM
Comments

この写真この足がすごく面白かったんです。
全部このまま石器時代の足に書き換えるとどうかなとか想像してしまって、
画面になじむように思いまして、
石器時代の人が丸太を載せてる姿もほぼ同じ動作するんじゃないかとか
ブリコルールってどの時代にも当てはまる作る人の普遍的な存在かも?とか
どの地域や文化にも共通するリズムみたいなもの?とか
ブリコルールのところどんどんはまりそうです。
昨日は、この写真ひきのばしたの壁にはって眺めてました。
身近なところにいろんなおもしろいのが
あるなあと思いました。

Posted by: Y-KKM5.0-am @ March 2, 2011 06:50 AM

Yam さん、どうもどうもです。
こちらの意図を分かっていただくつもりで、トリミングを重ねている間に……怪しくなってしまいましたかも……ですね。
何も深い意味はありませんです。

Posted by: 秋山東一 @ March 1, 2011 11:39 AM

きのうから何回も見ているんですが、我慢できなくて
とうとう書きます。実はこの景色の同じもの私一年前に見たはずなんです。でもそのときはこんなふうに見えませんでした。不思議です。例えが適切じゃないかもしれませんが
ワイエスの絵見ている時と同じ感じで、画面にいない人の気配みたいなのとか。とくに
3枚目の上のほうのみんなの足の向きが気になります。だれとだれがどんな話してるんでしょうか。
これ何時代の足ですか。ルドルフスキーの本の写真にも見えます。きのうから気になって何回も見てしまいます。

Posted by: Y-KKM5.0-am @ February 28, 2011 05:48 PM