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コミュニティを問いなおす

BOOKS

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コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来
ちくま新書


著者: 広井良典

ISBN: 978-4480065018
出版: 筑摩書房
定価: 903-円(税込)

本書は、朝日新聞社の2009年度の第9回大佛次郎論壇賞であり、その独自の主張がずいぶんと注目されているものなのだ。著者である千葉大学法経学部教授。広井良典氏は1961年岡山生れの新進気鋭の社会学者である。

そんな方にひょんなことからお会いすることになったのだ。

中谷礼仁氏が編集委員長となった日本建築学会の会誌、月刊「建築雑誌」の6月号の特集は「われらの庭園」、何か造園……の特集というわけではない。

その企画趣旨によれば「ルイス・マンフォードはその著書「ユートピアの系譜」の中で、ユートピアの主な任務を、ヴォルテールの言葉を借りーわれらの庭園をつくろうーとまとめている。それは自分自身による環境の開発である。
…………本特集では、このような社会の変化や建築生産の充実の帰結として「環境の自主創造」をとらえ、その未来を吟味したいと考えている。」とあるのだ。

その特集「われらの庭園」冒頭の対談に……セルフビルド・ブリコラージュする建築生産側としての私、「社会の変化」を講義してくださる方として招請されたのが千葉大学法経学部の教授・広井良典氏であったのだ。


目次
プロローグ コミュニティへの問い

第1部 視座
 第1章 都市・城壁・市民―都市とコミュニティ
 第2章 コミュニティの中心―空間とコミュニティ
 第3章 ローカルからの出発―グローバル化とコミュニティ

第2部 社会システム
 第4章 都市計画と福祉国家―土地/公共性とコミュニティ
 第5章 ストックをめぐる社会保障―資本主義/社会主義とコミュニティ

第3部 原理
 第6章 ケアとしての科学―科学とコミュニティ
 第7章 独我論を超えて
 終 章 地球倫理の可能性―コミュニティと現代

参考文献
あとがき


著者「あとがき」に広井氏はアンジェラ・アキの「手紙」という歌のことから書き始める。彼の若かりし頃からの原問題というべきものを「コミュニティ」というテーマに収斂させていったことが語られる。
それは彼の考える「人間についての探究」と「社会に関する構想」の二つに集約され、コミュニティは、その二つにまたがる主題なのだと……。

本書の第7章「独我論を超えて」そして、終章「地球倫理の可能性」……は、「定常型社会」という氏の構想の中心なのである。大いに触発された時間であったのだ。

Posted by 秋山東一 @ May 19, 2010 02:03 AM
Comments

ケンさん、どうもです。
先日は失礼いたしました。現代のシガラミだらけの世界から脱出する方策が……ここに、あるような気がしているのです。

Posted by: 秋山東一 @ June 15, 2010 09:21 AM

読了いたしました。医療・福祉、建築・都市計画、行政・町おこしなどが一体となってコミュニティを見つめなおさないといけなせんね。内的世界においても、外的世界においても、人の創造性は何かと何かを橋渡しすることに発揮されるのだろうと思いました。

Posted by: ケン @ June 15, 2010 07:35 AM

keiji さん、ごぶさたしてます。
北海道の春は、新緑桜ジンギスカンと聞きましたが、楽しそうですね。
この本の著者、広井良典氏は厚生省におられた方なのですが、緻密な論理で組立てていかれるのですが、最後の二章は……SFのように思えるくらい鮮やかです。

Posted by: 秋山東一 @ May 19, 2010 05:13 PM

今井さん、どうもです。
ぜひぜひ、ご感想を……であります。

Posted by: 秋山東一 @ May 19, 2010 04:40 PM

秋山さま、ご無沙汰しております。
以前より興味のあるテーマだったので読んでみたいと思います。
私に理解出来るか?疑問ではありますが、、、

p.s.
こちらやっと春らしくなって参りました。

Posted by: keiji @ May 19, 2010 11:06 AM

秋山さん、この本もまず買って読んでみることにしました。

今の世の中は、国、企業、組織の社会的責任も大きくなり、一人一人も、ややもすればすぐに社会に期待しようとする。そのあたり問題だと思います。

Posted by: 今井孝昌 @ May 19, 2010 08:14 AM