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ニセドイツ 1

BOOKS

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ニセドイツ 1
 ≒東ドイツ製工業品

著者: 伸井 太一

ISBN: 978-4784511129
出版社: 社会評論社
価格: 1,995 -円(税込)

今年2010年はドイツ統一(再統一)から20周年という節目の年だそうだ。その1990年夏はヨーロッパ旅行に行っていた。ベルギー滞在中にドイツ国境が開いたというニュースを聞き、そのままベルリンに走っていきたい衝動に駆られたのを思い出した。

さて、自分の回りを見渡せば、数多くのドイツの工業製品が……なのだ。車も文具も玩具も……まぁ、最近では made in china なる製品、世界の工場中国製品が電子製品では顕著ではあるのだが。

本書はドイツはドイツでも、東独……、今は無き東ドイツの工業製品を熱く語っているのである。
なんだか、ダメカワイイ……工業製品の数々が写真とともに語られていくのだ。


目次
002 ■ はじめに
003 ■ 目次
004 ■ トラバント:共産主義車 の代表格
032 ■ ヴァルトブルク:東ドイツの高級車?
044 ■ バルカス:パイからスパイまで運ぶ東ドイツのワゴン
048 ■ スポーツカー・メルクス:マルクス? 東のフェラーリ
050 ■ 高級車:これが、ホーネッカーの本音っかぁ?
052 ■ 東独のVIP車:Very Impossible Person
054 ■ 燃ーえーる男の~♪赤いトラクタぁ~♪
056 ■ マルチカー:ディーゼルの働きアリ
058 ■ バイク:足もとにからみつく、赤い波を蹴って
068 ■ 自転車:I want to ride my bicycle!!
074 ■ 鉄道:東の定刻鉄道
088 ■ 飛行機:煩ハンザ・ツー雑な二つのルフトハンザ
094 ■ 船:そして船は行く
095 ■ ラジオとラジカセ:毒・ 電波?西と東の独電波
100 ■ テレビ:無知の地
103 ■ レンズとカメラ:すべての研・ (磨・ )力・ をレンズへ!
107 ■ 電話:鳴らない電話
108 ■ 家庭用電化製品:家電の東
112 ■ タイプライター・エリカ:好みのタイプは?
114 ■ パソコン:国営合体!ゆけ、ロボトロン!
118 ■ 東ドイツの集合住宅:コミュニ住む
122 ■ アイゼンヒュッテンシュタット:スターリンの街
126 ■ ベルリン:競争と狂騒の都市
130 ■ ハレ・ノイシュタット:ドイツのハノイ
132 ■ 紋章:東独進歩リズム
135 ■ 共産塔:東独電波の届く範囲
138 ■ 世界時計:地球は回る、同きみ志を乗せて
139 ■ 壁画:未来予想図
143 ■ 彫像・銅像:共産主義の協賛
147 ■ 国家人民軍:世界平和のために!
152 ■ 国際国家・東ドイツ:独裁下の国際化
157 ■ おわりに:東ドイツ製品のニセ性について
158 ■ 注

東ドイツの工業製品の代表格は、四輪乗用車のトラバントだが、ボール紙で出来ている……とばかにされておった。私は昔、チェコで見かけたのであるが、我が国の初期の乗用車にも似たような物があったように思える。
私が道場主を勤める設計道場での生徒諸君の住宅のスケッチで図面上のヘタクソな自動車の絵を「トラバント」と呼んでいるのだ。

本書はそのトラバントから始まって、東独工業製品の数々が写真と共に面白おかしくれて語られていくのだ。まぁ、著者のダジャレ、語呂合わせには辟易とするが、大変興味深く面白い本なのである。

 ● 『ニセドイツ ≒東ドイツ製品』の補完ブログ


追記 100130

私の持物でニセドイツはないかと……あたってみれば、あるのである。

単眼鏡が Carl Zeiss Jena カール ツァイス・イエナ製なのである。そのブログ記事を読んでみると「いかにも東独製だという感じがうれしい」なんて書いているのだが、コメント欄では「……スーベニア仕立てという志の低い部分を感じるのですね。」とも言っているのである。

http://landship.sub.jp/stocktaking/archives/000848.html 


Posted by 秋山東一 @ January 30, 2010 03:24 PM
Comments

kawa さん、どうもです。
そうですか。そんな世界があるのですね。面白いですね。
Things that I used to do. でお書きになっている AUDIO のお話、私にはチンプンカンプンではありますが、そんな面白い話しなんだ……と感じ入っております。
デザインもその対象によって異なるのは当然ですが、いわゆる共産圏の独創的デザインは、私め好むところではあるのです。

Posted by: 秋山東一 @ January 31, 2010 11:50 AM

勿論、ダメ可愛い物が多いのだと思います。
ただ戦後西側ではコスト競争にさらされて生き残れなかった技術、ドイツ第三帝国の精華が奇跡的に残っていたと言う人達もいます。
音響施設機器の一部について、オーディオ好きの極く一部、骨董愛好家の中の更にほんの一部、戦前のドイツ音響施設を至高と考える人達がいます。100人ぐらいかな。
そうした技術が壁の崩壊とともに死に絶えた様です。
おかげで機器個体は西側に流出してきました。ほんの少しですけどね。
(私のは西側ですけど)

Posted by: kawa @ January 31, 2010 09:27 AM