フロム・ヘル | [ BOOKS ] |
大判の上下二巻、この中に一九世紀末の英国、1888年、ロンドンの貧民街ホワイトチャペル地区で起きた連続猟奇殺人事件の犯人、Jack the Ripper「切り裂きジャック」が隠されているのだ。
時はヴィクトリア朝末期、その社会全体の縮図のように、女王陛下からスラム街の娼婦まで、すべての階層の腐敗と不安が充満するロンドンの陰惨な情景が、たくさんのレイヤーを通して浮かび上がってくるのだ。
作者はアラン・ムーア、コミック界の奇才が、この構想に十年かけたという傑作ノンフィクション・ノベルだ。その重厚にしてダイナミックな構成、周到に埋め込まれた伏線……、もう、本書の虜になったのも同然なのだ。
● アラン・ムーア『フロム・ヘル』日本語版オフィシャルサイト|みすず書房
ロンドン地図、およびホワイトチャペル地区拡大図
補遺 I 各章の註解
補遺 II カモメ (ガル) 捕りのダンス
Murder, Myth & Magic(柳下毅一郎)
翻訳参考図書
本書は上下二冊を最初から用意することを推奨する。最初から最後まで一直線に読解することは不可能だ。理解不能のまま次に飛び、又戻りと、徐々に全貌が分かってくるのだ。本書が邦訳されていることを感謝せねばならない。原書では私には無理というものだ。とにかく、すごい……としかいいようがない。
フロム・ヘル 下
著者: アラン・ムーア Alan Moore
作画: エディ・キャンベル Eddie Campbell
訳者: 柳下 毅一郎
ISBN: 978-4622074922
出版社: みすず書房
価格: 2,730-円(税込)
ケンさん、どうもです。
やっぱり、お若い……、私には一気に……は到底無理であります。いつたりきたり……で、どうにかでありますです。
ところで、同じくアラン・ムーアの「V フォー・ヴェンデッタ」を買い込んでおり、ちょびちょび読んでおります。
読みました。よくよく考えると外国のコミックは初めて読んだかもしれません。若干登場人物の顔の認識がしづらいですが、それでも一気に読み終えました。といっても私はマンガを読むペースが随分遅いらしいです。ほぼマンガしか読まない家内に「遅~。あんたマンガ読むの遅いわ~」と小バカにされました。
Posted by: ケン @ June 27, 2010 07:00 PMkomachi さん、どうも、ごぶさたです。
アメリカン・コミックスの翻訳本の存在自体が稀なことですが、手にしたのは「マウス」以来です。
最初の取っ掛かりが辛いのですが……それを過ぎれば、もう、夢中です。誰でも知っている事件が、その時代ごと浮かび上がってくるような、そんな感じがしました。
やはりakiさんは買いましたね。みすずのサイトが好評のようで、5刷、12000部までいっているとか。
Posted by: komachi @ February 3, 2010 08:45 AM本書の翻訳者、柳下毅一郎(やなしたきいちろう)は1963年生れで東大建築家出身、山形浩生と共に「東京大学SF研究会」に属し、雑誌「宝島」の編集部で町山智浩と同僚だったそうだ。
Posted by: 秋山東一 @ February 1, 2010 10:32 AM