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カムイ伝講義

BOOKS

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カムイ伝講義

著者: 田中 優子

ISBN: 978-4098401130
出版社: 小学館
価格: 1,575 -円(税込)

私は、白戸三平の「カムイ伝」に夢中になった....ということがない。学生運動で揺れた世の中でもてはやされた「カムイ伝」の時代、ちょっと世代的に上だからかも知れない。私にとっては他に夢中になることがあったのだ。

本書は法政大学社会学部での田中優子教授による学部講義「比較文化論」と、三年生徒の「江戸ゼミ」での「カムイ伝」をテキストとしての講義と研究成果を本にしたものである。「カムイ伝」の舞台、江戸初期という時代と、そこに描かれた諸相を分析し解読されているのである。


目次
はじめに 『カムイ伝』から発掘できる、さまざまなテーマ
第一章  『カムイ伝』の空間と時間
第二章  夙谷の住人たち
第三章  綿花を育てる人々
第四章  肥やす、そして循環する
第五章  蚕やしない
第六章  一揆の歴史と伝統
第七章  海に生きる人々
第八章  山に生きる人々
第九章  『カムイ伝』の子どもたち
第十章  『カムイ伝』の女たち
第十一章 『カムイ伝』が描く命
第十二章 武士とは何か
おわりに いまもカムイはどこかに潜んでいる
     あとがき
     追記 受講生にとっての「カムイ伝講義」
     図版索引
     引用・参考文献

本書の終章「いまもカムイはどこかに潜んでいる」は、現代とカムイとをつなぐ。著者・田中優子は書く。

……中流幻想は遠のき、私たちの生活はいつどん底に陥るかわからない。いったん貧しさに陥るとそれは固定化され、見えない階級のようになって貧しさを生む。政治家は固定化され、見えない階級のようになって世襲がおこなわれる。将軍に忠誠を誓う大名のように、アメリカに忠誠を誓う日本政府は、将軍とともに経済システムの悪循環の中にすでに巻き込まれている。

……カムイはこの世界をどう見ているか、どう考えているか、カムイなら、どこで何を仕掛けるだろうか、と、私は考えをめぐらしている。

おりしも、衆議院選挙……、すくなくとも、それが百姓一揆のような効果、私はそれを期待している。

Posted by 秋山東一 @ August 28, 2009 08:08 AM
Comments

玉井さん、どうもです。
本書についてエントリーしましたが、まだ、何かしっくりきていないのを感じています。
あの選挙から一年半、やっと乗り越えるべき諸相の醜い姿が見えてきたように思います。後、数時間で2011年、ソ連崩壊から20年、9.11から10年、来年はどんな年になるのでしょうか。

Posted by: 秋山東一 @ December 31, 2010 06:04 PM

 じつはこのエントリーを知らなかったのですが、なぜか、ここにたどりつきました。私もカムイ伝をあまり読まなかったクチなのです。意識して読まなかったわけでもないので、どうして読まなかったのか分かりません。存在を知らなかった訳でもないのに。

 あの選挙の頃なんですね、これは。ぼくたちも世間も、あのころの昂揚はどこへやらという状態ですが、まだまだ諦めるわけにはいかない。いま私は新潟にいるので、元気のもとにすべく、とりあえず中野図書館のサイトで検索したら3冊もありました。さっそく予約しましたが、手に取るのは来年です。

Posted by: 玉井一匡 @ December 31, 2010 09:33 AM

iGa さん、どうもです。
私もこのエントリー、書きかけのまま放置しておりましたが、あっ、そうか……とエントリーいたしましたです。

Posted by: 秋山東一 @ August 28, 2009 10:37 AM

そうか、私も塩漬け状態の「カムイ伝講義」を...取りあえずでも...

Posted by: iGa @ August 28, 2009 10:22 AM