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機械仕掛けの神

BOOKS

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機械仕掛けの神―ヘリコプター全史

著者: ジェイムズ・R. チャイルズ James R. Chiles
訳者: 伏見 威蕃

ISBN: 978-4152090003
出版: 早川書房
価格: 2,415-円(税込)

本書の書名「機械仕掛けの神」は、原書名である THE GOD MACHINE の邦訳であるが、ラテン語の Deus ex machina (デウス・エクス・マキーナ) に由来する。本来は演劇の用語で、古代ギリシャ演劇の劇中で絶対的な神が登場.......という時に使われたクレーンのような機械仕掛け.......と一緒くたにして「機械仕掛けの神 apo mekhanes theos 」と呼ばれていたとのことだ。

現代のヘリコプターの活躍は、それを思い起こさせる.......というわけで、書名になったというわけだ。本書はヘリコプターの話の集大成、その起源から、原理、その歴史..........ヘリコプターの全てがあるのだ。


目次
  序 「鳥たちが歌うわけ」
第1章  飛行前
第2章  イカリア海
第3章  新しい自然の力
第4章  ブレークアウト
第5章  空の自動車
第6章  スーツケースのなかのジュール・ヴェルヌ
第7章  空をいっぱいにする
第8章  競争
第9章  地形の艱難
第10章 チョッパー作戦
第11章 最後のひとり
第12章 実社会に復帰する
第13章 神々の戦車
第14章 私を見張るもの
第15章 グレイト・スティック(操縦の達人)
第16章 結び
  付録1 ヘリコプター関連年表
  付録2 本書で取り上げたヘリコプターなど
  訳者あとがき
  参考文献

私が初めてヘリコプターを間近に見たのは1950年代、小学生の頃だった。

戦後からほどなくの1952年、やっと日本の民間航空も再出発、新聞社が取材用にヘリコプターを輸入し使い始めた頃なのだ。そのヘリコプターの宣伝と啓蒙のために各地に飛ばす活動をしていたのだ。八王子では、八王子市立第五中学校の校庭にヘリコプターが飛来するというイベントがあったのだ。

大勢の人達が待ち受ける中、産経新聞のヘリコプターが飛来、ちょこっと留まった後、再び離陸していった......それだけなのだが、他に娯楽もなく.......大勢の人達が集まったものなのだ。

今でもありありとその時の情景が蘇ってくるが、特にそのヘリコプターの姿形について鮮明な印象がある。二人乗りの透明なキャビンは妙に平で、リブの付いたパイプ状の胴体が後ろに伸び、その上のエンジンの上部から斜めにブレース状に太いシャフトがあり、それが後部ルーターの回転を担っていた。
その着陸、離陸時の轟音と暴風には驚いた.........。たった二人を運ぶのにこりゃないだろう........と幼い私も感じたのであった。

八王子に飛来した、あのヘリコプターを調べてみると、JA7002 なるヒラー Hiller UH-12B なるヘリコプターであった。まさしく、私の記憶する特長を持っている。何か、水上用のフロートを装着していたような気がするが........さて、どうだったんだろ。

 ● 航空の現代:ヘリコプターの開発試行


Posted by 秋山東一 @ March 8, 2009 07:59 PM
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