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ゴシップ的日本語論

BOOKS

それなりの数の本を読んでいるが、ここの[ BOOKS ]のエントリーになるとは限らない。
読みはじめる前にエントリーの準備をしてしまうのは常だが、本を読了するとは限らないし、その本にがっかりしたりといろいろなのだ。本書は最近読んだものだ。

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ゴシップ的日本語論
文春文庫

著者: 丸谷 才一

ISBN: 978-4167138196
出版: 文芸春秋

定価: 619-円(税込)

今井さんの「リンガマークボード+」のエントリー「ショッキングな昭和天皇の「ア、ソウ」について」に反応してしまった。
本書「ゴシップ的日本語論」で、丸谷才一は鳥居民の「昭和二十年」、ハーバート・P・ビックスの「昭和天皇」の二冊の大部な本に共通する「天皇言語不能」説について語っているんだそうだ。

昭和天皇の言語能力が.........、読んでみたくなったのだ。

本書の成立ちは「あとがき」にあるが、全て丸谷才一が話しをしたものばかり......講演、挨拶、対談、座談会でできているのだ。


目次
  Ⅰ
日本語があぶない
ゴシップ的日本語論
  Ⅱ
文学は言葉で作る
折口学的日本文学史の成立
泉鏡花の位置〈付録〉日本文学史年表
人間の時間といふもの
  Ⅲ
男と女が合作する小説
  対談 瀬戸内寂聴 丸谷才一
新しい歌舞伎の時代
  対談 中村勘三郎 丸谷才一
思想書を読もう
  座談会 木田元 三浦雅士 丸谷才一

 あとがき
 解説 竹内修司


本書の書名にもなっている「ゴシップ的日本語論」と「日本語があぶない」は丸谷才一自身が、これは私の憂国の論であると言っているのだ。

「ゴシップ的日本語論」では、............天皇の貧弱な言語能力がどんなに日本国の歴史を不幸なものにしてきたのか........を丸谷才一は語り、最後に「.........一国の運命は、政治と経済によるだけではなく、言語による所が極めて大きい。あるいは政治と経済を言語がささへてゐる。言語教育は国運を左右し文明を左右する。わたしはさう思ってをります。」と2003年7月のプレスセンターでの講演を終えるのだ。

Posted by 秋山東一 @ February 27, 2008 12:22 AM
Comments

玉井さん、どうもです。
小っちゃな文庫本が......と読みはじめてみたら、実に大きな本に見えてきました。「ゴシップ的日本語論」の元となっている「昭和二十年」も「昭和天皇」も面白そうですね。特に、鳥居民の「昭和二十年」は初めて知ったのですが........すごいですね。
ちょっと前ですが、神保町で古書買って玉井さんの事務所に寄った時、神保町の街頭で丸谷才一を見かけました。なんだか、とても相応しい場所.....と感じたのでした。

Posted by: 秋山東一 @ February 28, 2008 06:19 AM

今井さん、どうもです。
本書をお教えくださりありがとうございました。丸谷才一は初めてではないのですが、本書の「ゴシップ的........」という軽いのり......と思っていたものが、読み進むうちに夢中になってしまいました。

Posted by: 秋山東一 @ February 28, 2008 06:08 AM

たかさん、どうもです。
ぜひぜひ、お読みくださいませ。

Posted by: 秋山東一 @ February 28, 2008 05:58 AM

面白そうですね、この本は。
存在をも知りませんでした。読みます。
「昭和二十年」も「昭和天皇」も、ぜひとも読みます。
高いのは、図書館をさがします。

Posted by: 玉井一匡 @ February 27, 2008 10:51 PM

秋山さん、私の記事に反応してくださり、ありがとうございます。すごく嬉しいです。一気に心が軽くなりました。
丸谷才一は人をけむにまく才能があるので、最初は軽く読んでても、「実はこのメッセージはすごく重いんだな」と思うことがしょっちゅうあります。

Posted by: 今井孝昌 @ February 27, 2008 11:14 AM

「まさに」、といった内容ですね...。

Posted by: たかさん @ February 27, 2008 11:08 AM