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ポップ科学大画報 1

BOOKS

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ポップ科学大画報 1―20世紀・科学神話の時代―

著者: 原 克

ISBN: 978-4846526825
出版: ワールドフォトプレス

定価: 1,800-円(税込)

本書の著者、早稲田大学教授・原克氏は表象文化論なる学問がご専門とか、その学問....なんとなく分かったような気分ではある。

プロローグで「現代は神話の時代である」と宣言し、現代科学を神話として語ってきたポピュラーサイエンスに代表される大衆科学誌の役割を語る。本書はそのスクラップブックとして、冷戦時代の核のイメージ、科学技術と女性、ナチスドイツのアウトバーンの図像が収集され分析される。

本書の約半分のコンテンツは、冷戦時代の核のイメージをその頃の大衆向けの印刷物から抽出する。原爆、核戦争は卑小化され、核エネルギーの平和利用というマヤカシのイメージを提供してきたのだ。それは今もって続いているのではないはないか。現在の原発、核廃棄物問題にも通底しているのだ。


C O N T E N T S
002-003 プロローグ 20世紀の神話、ポピュラーサイエンスとは
006-015 放射能標識デザイン論 柏木 博
016-081 ニューポップス、悪魔の図像学 サブカルチャーと核イメージ
     ...................................
     アトミックス・コミックス外伝 幻のアメコミが核の時代を説く
     ...................................
082-103 ポピュラーサイエンスのヒロインたち 科学と女性の図像学
104-157 ライヒス・アウトバーン ナチス帝国のテーマパーク
     ....................................

ナチスドイツが進めたアウトバーン建設がテーマパークとして捉えられるのも面白いが、科学と女性の図像学.......なんて、今もって自動車ショーに付きもののコンパニオンなんて、相変わらず科学技術の先端も性的イメージからのがれられないのだ。

今もって「現代は神話の時代である」のであろう。

Posted by 秋山東一 @ January 15, 2008 12:04 AM
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