吉原御免状 | [ BOOKS ] |
出版されたのが1986年、文庫本になったのが1989(平成元)年で、今年で44刷という、なかなかの人気本のようである。時代小説、剣豪小説、伝奇小説.....まぁ、レッテルはいろいろだが、むちゃくちゃ面白いのであーる。
吉原という特殊な場所、それが一つのアジールなのだと捉えた時、その構造が見え、そこに新しく想像した世界が生まれたのだ。きっと網野史観に代表される、中世を新しく見直す思想が、この時代小説の下敷きになっているに違いない。
吉原の「お歯黒どぶ」と言う濠に囲まれた四角い区割り、それは要塞なんだ。そこに隠された武装集団の存在........その「吉原御免状」の正体、それをめぐる「柳生一族」との死闘、やぁ、ぞくぞくするなぁ。
吉原ですから、そこでの通例の営みも、ぞくぞくさせてくれますです。