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脳のなかの幽霊、ふたたび.....

BOOKS

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脳のなかの幽霊、ふたたびー見えてきた心のしくみ

著者: V.S.ラマチャンドラン V.S.Ramachandran
訳者: 山下篤子

ISBN: 4047915017
出版: 角川書店
定価: 1,575-円(税込)

最近、脳についての本はあまたあるが、やぁ、これは平易だし、薄いし、それに、なによりも面白い。

原題は THE EMERGING MIND だから、まぁ「明らかになった心の仕組み」ってな題だが、先のベストセラー、 PHANTOMS IN THE BRAIN の邦訳「脳のなかの幽霊」の成功にあやかって、......、ふたたび.......ときたもんだ。腰巻きにも「ラマチャンドランの本は面白い。」と賑やかなことであるが、どう考えても「ふたたび、売れればいいな....」の意味であろう。

そんな思惑には関係なく、本書「明らかになった心の仕組み」はすばらしい本なのだ。

本書はバートランド・ラッセルから始まった由緒ある Reith Lecture リース講演で、V.S.ラマチャンドランが2003年に行った講演を出版したものだそうだ。一般人向けということで、とても平易に語られているのだ。

内容は脳科学の最先端の知見、神経内科医として出会う数々の患者に見いだせる、共感覚、ヒステリー、幻肢、自由意志、盲視、半側空間無視等々の症例から推考する脳の構造というべきものだ。そこに、脳科学者が考える未来、現在の哲学の分野である世界も脳科学によって明らかにされるであろうことが語られていく。
そう、今まで哲学の領域であった、芸術とは何か......自己とは何か.......私は何者なのか......それらの答えは脳の構造の中にあり得ることが、誇らしげに語られていくのだ。


目次
 はじめに

第1章 脳のなかの幽霊
第2章 信じることは見ること
第3章 アートフルな脳
第4章 紫色の数字、鋭いチーズ
第5章 神経科学—新たな哲学

 謝辞
 解説 養老孟司

 原 注


著者 V.S.ラマチャンドランは、最後、「.........政治も、植民地主義や帝国主義も、戦争も、人間の脳から生まれるのです。」と語り、リチャード・ファインマンの内省的な文で本書を締めくくるのだ。

Posted by 秋山東一 @ October 25, 2006 10:24 AM
Comments

池谷裕二の「進化しすぎた脳」は本ブログにエントリーしていますが、「脳は何かと言い訳をする」も買い込んであります。
ところで、池谷裕二は薬学からの脳へのアプローチですが、この V.S.ラマチャンドランは神経内科医、ダイレクトに脳の構造にアプローチしていて、大変面白いです。

Posted by: 秋山東一 @ October 26, 2006 07:06 PM

あっ、僕も新聞の書評を読んで面白そうだと思った池谷裕二の「脳は何かと言い訳をする」を買ったばかりです。

Posted by: iGa @ October 26, 2006 05:53 PM

昨日、友人のところに行ったら海馬の池谷裕二の「進化しすぎた脳」がありました。読んだから持っていっていいというので借りて来ました。当たり前ですが脳のはなしはおもしろいですね。

Posted by: 玉井一匡 @ October 26, 2006 11:52 AM