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ヤコブセンの家

Architecture , BOOKS

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ヤ コ ブ セ ン の 家 ー 桜 日 記
CULTULIFE シリーズ


著者: 岡村恭子

ISBN: 4939102750
出版: プチグラパブリッシング

定価: 1,470-円(税込)

この表題「ヤコブセンの家」のヤコブセンとはアルネ・ヤコブセン Arne Jacobsen (1902~1971)、デンマークの建築家にして家具・照明デザイナーだ。デンマークデザイン・北欧デザインの代表ともいうべき人物だが、皆が座っているアリンコ(アント)チェアのデザイナーとして最も有名であろう。

本書はそのヤコブセンが設計した家に偶然住むことになった日本人家具デザイナー一家のお話なのだ。「ヤコブセンの家」に住むのは岡村孝氏、そして本書の著者、夫人である岡村恭子氏、そしてお嬢さんという三人家族なのだ。
表題に「.......桜日記」とあるように、北欧デンマークの遅い春、桜の開花の話から始まる。この「ヤコブセンの家」の庭には大きな桜の樹があるのだ。

1989年、コペンハーゲン・ソンビューベスタ通り29番地に、アルネ・ヤコブセン設計の家が売りにだされているという新聞広告を著者が見つけたことから始まる。
敷地面積1093平米(330坪)床面積266平米(80坪)地下室129平米(39坪)、1936年に建った家だ。建った時点では使用人が二人いるような邸宅だったのだ。ヤコブセンが設計したのが1936年、彼が34歳、若々しい時代の仕事なのだ。

彼らはその家に魅せられる。そしてそれを手に入れてしまうのだ。

その家には二つの暖炉がある。玄関からはいったエントランスホールに、大きな居間の奥のちょっと下がったコーナーの壁に、それはいかにも北欧的な心憎いばかりの設計なのだ。オリジナルの照明器具や作りつけ家具などを含めて十分にオリジナルの状態を保っており、2002年の生誕百周年には保存住宅に指定されたとのことだ。
彼らは三代目オーナー、現在では旧式で不便な点も目立つがメンテナンスしながら維持し、その生活を楽しんでおられるのだ。

本書の目的は、その家を解説することではない。この家に生活するご一家の話である。
北欧デンマークでの生活、家具デザイナーとしての仕事、隣人達、教育、学校、四季、日本からの留学生達と共に過ごす北欧の暮らしが語られる。流行にまどまわされることなく、ゆったりと四季を楽しみ、自分たち自身の手で作りあげていく生活の豊かさが語られている。

桜の開花から、次の春を待ち望む冬、その春の予感を感じさせてくれる記述で本書は締めくられている。

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実は、16年も前のことだが、この「ヤコブセンの家」を訪問、私は一泊させていただいたことがある。
 1990年6月撮影した35mmポジフィルムをスキャンした。

Posted by 秋山東一 @ September 2, 2006 09:29 AM
Comments

ヘルシンキ工科大学もありました。
Alvar Aalto Helsinki University of Technology(Otaniemi)
60°11'6.56"N 24°49'48.09"E
直ぐ側に図書館やReima PietilaのDipoli Conference Centerがありますね。

Posted by: iGa @ September 2, 2006 05:33 PM

iGa さん、どうもです。
同じく、Alvar Aalto の「文化の家」はここですね。
60°11'19.82"N 24°56'39.54"E

Posted by: 秋山東一 @ September 2, 2006 04:03 PM

北欧の建築家といえば
去年の世界陸上マラソン中継でAlvar Aalto のFinlandia Hallを探したのだ。
60°10'37.60"N  24°55'57.45"E

Posted by: iGa @ September 2, 2006 12:15 PM