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日本残酷物語

BOOKS

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日本残酷物語 | 1 貧しき人々のむれ

監修: 宮本常一・山本周五郎 他

ISBN: 4582760953
出版: 平凡社

定価: 1,427-円(税込)

真鍋さんの komachi memo2『日本残酷物語』としてエントリーされていなければ読んでみようなんて思わなかった。

この平凡社ライブラリー「日本残酷物語」全五巻は発刊されたのが1995年、すでに10年以上前の出版だ。
最初の「日本残酷物語」は1959年に全七巻(五巻と別巻二)という昔なのだ。その後、第二版として1972年に別巻を除き全五巻で、編集部によって大幅に再構成・リライトされて刊行、そして、1995年の平凡社ライブラリー版となったのだ。

いやぁ、ずいぶんと息の長い出版物なのである。いつの頃からか、この本の存在は知っていたのだが、まったく手に取ろうという気がしなかった。それは、その書名「日本残酷物語」にあったと思うのだが、この本になにかうさんくさいものを感じてしまっていたのだ。

この残酷物語なる言葉、ヤコペッティの映画「世界残酷物語」の専売特許という趣なのだが、この「日本残酷物語」の書名から小賢しい映画配給会社が付けたのであろう。そのあたりもなんだかなのだが、どうも読まなかった理由は他にあるのだ。

本書の解説、民俗学者の大月隆寛氏による 解説ーかって「残酷」と名づけられてしまった現実 を読んで納得した。
「........その「残酷」をものさしとして、先に触れたような当時の世間にあった当たり前ー思い切り刈り込んだ言い方をすれば、戦後の言語空間で大衆化し、通俗化した”左翼”的階級史観ーが前提になっているはずです。」本書が最初に出版された時代、その時代の気分を解説していく。
そして、突然「宮本常一がキー・パーソンです。.......」となり、現在であれば本書がどう読まれるのか、「.....けれども、現在の時点ならばそのような開かれた「読み」も十分に可能だろう、と、僕は〈いま・ここ〉の読者の「読み」の力にかなり期待していたりもするのです。」と結んでいる。

さてさて、そんな複雑な世界の中に本書、本ライブラリーはあるのだ。


平凡社ライブラリー
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日本残酷物語

1 貧しき人々のむれ
2 忘れられた土地
3 鎖国の悲劇
4 保障なき社会
5 近代の暗黒


Posted by 秋山東一 @ September 8, 2006 12:55 PM
Comments

komachi さん、どうもです。
中身は至極まっとうなドキュメントなのに、この「残酷物語」という書名で損をしていますね。

Posted by: 秋山東一 @ September 17, 2006 01:06 PM

ちょっと、ごぶさたです。残酷物語というタイトルで手に取らなかった、あるいは手にまだ取らない人は案外いるようですね。私もその一人です。

Posted by: komachi @ September 15, 2006 08:41 AM