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補給戦ー何が勝敗を決定するのか

BOOKS

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補給戦ー何が勝敗を決定するのか
中公文庫
著者: マーチン・ファン・クレフェルト Martin van Creveld
訳者: 佐藤佐三郎

ISBN: 4122046904
出版: 中央公論新社
定価: 1,500-円(税込)

すっかり忘れているが、三島由紀夫が何かに「兵站学 logistics 」に興味があると書いているのを読んだことがある。その時、何か参考書.....と思っても、そんな軍事学の本がそんじょそこらにあるわけではなく、すっかり忘れていた。

そんな興味に答えてくれる本、それも出たばかりの文庫本(1980年に単行本として刊行)があった。


目次

序章 戦史家の怠慢
第1章 16~17世紀の略奪戦争
     河川利用を知った者が勝つ
     軍需品倉庫の出現
     移動中のほうが安全だった
     現地徴発が戦略の基本
第2章 軍事の天才ナポレオンと補給
     包囲攻城戦から会戦へ
     三帝会戦の舞台裏
     モスクワ敗戦の真因は何か
     結論
第3章 鉄道全盛時代のモルトケ戦略
     新制度創出時代へ
     鉄道は戦争をどう変えたか
     フランス対ドイツの激突
     実態は依然武装遊牧民
     理論倒れのモルトケ兵站術
第4章 壮大な計画と貧弱な輸送と
     巨大化と機動性との相克
     補給軽視のシュリーフェン
     小モルトケは小才だったか
     マルヌ川戦闘での兵站術
     鉄道は混乱し続けた
     敗けるべくして敗けた
     結論
第5章 自動車時代とヒットラーの失敗
     自動車化で徹底さを欠く
     バルバロッサ作戦と兵站
     惨惨たりロシアの鉄道
     運命の秋雨
     結論
第6章 ロンメルは名将だったか
     史上最初の砂漠機動戦
     砂漠で何が必要だったか
     最後までたたった港湾不足
     結論
第7章 主計兵による戦争
     完璧な組織
     数表を軽蔑したパットン
     永遠の謎・ルール突進
     結論
第8章 知性だけがすべてではない


Posted by 秋山東一 @ June 16, 2006 06:20 AM
Comments

akiさま。
百貨店におけるセントラル・バイイング(一括購入)、取引先の絞込みなども、その表れでしょうか。
                 alpshima

Posted by: alpshima @ June 17, 2006 12:51 PM

alpshima 様、どうもです。

本書の中で、近世の行軍する軍隊の補給を担ったのは、その隊列とともに進む民間の商人だったそうです。
軍隊の大量にして多岐にわたる物品の需要に応えるのは、百貨店的な存在でしかありません。
ご指摘のお話、百貨店の軍事的な機能という側面というようなお話なのではないんでしょうか。

Posted by: 秋山東一 @ June 17, 2006 11:09 AM

akiさま。

日本の百貨店の黎明期から1970年代の発展期の首脳陣に
陸軍参謀本部出身・陸軍中野学校出身の方が多くいらしたのも、実は「ロジスティックの大切さ」を認識していたからだ、ということを聞いたことがあります。

                alpshima

Posted by: alpshima @ June 16, 2006 10:25 AM