060527

人類が知っていることすべての短い歴史

BOOKS

4140811013.jpg


人類が知っていることすべての短い歴史

著者: ビル・ブライソン Bill Bryson
訳者: 楡井浩一

ISBN: 4140811013
出版: NHK出版
定価: 3,150-円(税込)

やぁ、ちょいと大部な本なのだ。最後の原注だけでも39ページ、本文はたっぷりの639ページ、ハードカバーで厚みは42mmもある。

まぁ、厚いから尊いというわけではないが、書名の「人類は知っていることすべての.......」となれば「.....短い歴史」といったって、このくらいは必要なのであろう。

科学書として本書の一章、例えば「ビッグバン」だけの新書はあっても、その「ビッグバンから「人類の誕生」までの時間と、「陽子」から「宇宙の果て」までの空間、その両方を一冊の本でまかなおうとすれば、それを手短に語ったとしてもこのような物(電話帳とまではいかないが)になるであろう。各々の新書を専門店とすれば、デパートみたいな本なのである。

この本の著者の他の本を読んだことはないし、科学とは無縁な作家ということだが、我々の時空を縦横に紀行するかのような軽妙な語り口は楽しく読まさせてくれる。とにかく面白い読書であった。


目次
序章

第Ⅰ部 宇宙の道しるべ
   1 宇宙の創り方
   2 ようこそ太陽系へ
   3 エヴァンズ師の宇宙

第Ⅱ部 地球の大きさ
   4 物の測定
   5 石を割る者たち
   6 科学界の熾烈な争い
   7 基本的な物質

第Ⅲ部 新たな時代の夜明け
   8 アインシュタインの宇宙
   9 たくましき原子
  10 鉛を取り出す
  11 マーク王にクオーク三つ
  12 大地は動く

第Ⅳ部 危険な惑星
  13 激突
  14 足もとの炎
  15 危険な美しさ

第Ⅴ部 生命の誕生
  16 寂しい惑星
  17 対流圏へ
  18 波躍る大海原
  19 生命の誕生
  20 小さな世界
  21 生命は続いていく
  22 すべてに別れを告げて
  23 存在の豊かさ
  24 細胞
  25 ダーウィン独自の概念
  26 生命の実体

第Ⅵ部 わたしたちまでの道のり
  27 氷河時代
  28 謎の二足動物
  29 落ち着かない類人猿
  30 結び

訳者あとがき
巻末 索引 参考文献 原注


昔、スティーブン。グルードの「ワンダフル・ライフ—バージェス頁岩と生物進化の物語」が出版されたとき、生物進化の面白さに夢中になったことがあった。

本書の21章「生命は続いていく」で、考古学上の化石という世界を概括し、「ワンダフル・ライフ」のバージェス頁岩の化石群の問題、現在の解釈が語られている。

この一章を読むだけでも、本書は面白いものであった。科学的な記述、そのものも大事だが、その発見、考察の中の科学者の有り様まで、面白く読まさせてくれるのである。

Posted by 秋山東一 @ May 27, 2006 09:52 AM
Comments